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凶悪
2013年9月21日公開

凶悪

R15+1282013年9月21日公開

fuw********

4.0

ネタバレ残酷だけど絶対悪がないことの不気味さ

アメコミの絶対的悪の存在定義に飽き飽きした時に鑑賞。 悪や正義の曖昧性を欲している時には邦画に限る。 白石監督は「彼女がその名を知らない鳥たち」での描写が素晴らしく、こちらの作品も素晴らしい出来だった。 まずキャストが良かった。 ヤクザ歴は行ってるけど、組長ほどの地位はないチンピラヤクザ役のピエール瀧さん、ずる賢いが体力自体は非力な先生にリリーフランキーさん、無気力からどんどん取材にのめり込んでいく記者に山田孝之さん、山田孝之さんに対して情感豊かに反応する妻に池脇千鶴さん、みなさんハマり役。 ストーリーは観ている者にいろいろ考えさせてくれる。 ピエールさんの役は殺人、リンチ、レイプ、薬物…やっていることは非道なものの、妻や舎弟からは慕われている。 そうは言っても、死刑執行を免れたのは腑に落ちないところもある。 先生に老人を酒で殺すように頼んだ家族の気持ちも正直わからなくはない。 5000万円の借金作ってそのことを武勇伝としてヤクザ達に話す姿には、こちらも苛々させられた。しかし、借金返済とはいえ保険金目当ての殺人依頼は人道に反する。(その後、良心の呵責に苛まれたり、先生からお婆さんへの保険金殺人は拒否していたから彼らなりの葛藤を感じた。) 事件を明るみにして警察を動かした記者はジャーナリストとは優秀だが、アルツハイマー病の母を妻に押し付け家庭を顧みない。 凶悪という題名はあるものの絶対悪ではない後味の悪さが作品としては良かった。 そうはいうものの、これが実際に起こった事件をもとにしているという現実ということを考えると、受け止めきれない心の重さを感じずにはいられなかった。 作品としては5点あげたいところ、実際に起こった残虐な事件に満点を付けたくないという思いから4点。

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