4.0点
…あらすじは解説のとおりと書こうと思ったら空欄で、レビュー数も未だ5件のみだ。 よっぽど人目に付かない作品なのだろう。 かつて愛する妻を無差別テロ事件で失い、今ではイギリス政府の秘密諜報機関の一員として女性上司シャーロット(シャーロット・ランプリング)の指揮の下、テロ撲滅のために身をささげて闘うユアン(ショーン・ビーン)。 一方、イギリスで弁護士を目指して法律を学んでいたイスラム教徒の青年アッシュ(アブヒン・ガレヤ)は、イギリス人女性の恋人ケイトとけんかをして別れ、人種や思想の障壁を実感した後、過激派組織に入り、テロリストとして養成される。 やがて彼は政府要人を狙った自爆テロを計画し…。 渋めのオッサン・ユアンがテロ撲滅に命を賭して闘い、多少ドジったりもするが結構派手めのアクションで魅せてくれる。 で、ユアン目線で観ていると、今度はアッシュが主人公となって話しが展開されていく。 むしろ、話の中心はアッシュの方に傾き加減で、弁護士を目指していた真面目な青年が、いかにしてテロリストに変貌していったのかが丁寧に描かれている。 観ている方としては、ユアンの活躍に心を躍らしていたが、原題が『Cleanskin』であることを想い出し、真の主人公はアッシュだと察する。 『クリーンスキン』とは、前科の無い者を意味し、その無垢な若者を言葉巧みにテロの世界にいざなう初老の男・ナビルがなんとも不気味だった。 口八丁手八丁で諭されたならば、純な若者はなびかない訳にはいかないだろう。 で、アッシュの活躍により爆弾テロは壊滅するかに思えたが……やはり、そう来たか! 政治の世界は、テロ行為をも懐柔するド汚くてド恐ろしい怒世界だったという結末で、なかなか見応えのある作品だった。 シャーロット・ランプリングは、撮影時67歳ぐらいだろうか? 流石の存在感だったが、本作での配役の汚名挽回を果たすべく、2016年の第88回アカデミー賞では、『さざなみ』で是非とも主演女優賞を勝ち取って貰いたいと願っていたが、駄目だったな。