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わたしはロランス (2012)

LAURENCE ANYWAYS

監督
グザヴィエ・ドラン
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3.81 / 評価:238件

解説

女性になりたいと思い続けた主人公が偏見に遭いながらも願望をかなえ、恋人である女性と過ごす葛藤と愛の日々を描く人間ドラマ。カナダを舞台に、女性として生き始めた男とそのガールフレンドの10年に及ぶ波乱に満ちた歳月を映し出す。監督は、23歳という若さで本作を発表したカナダ人監督グザヴィエ・ドラン。『ぼくを葬る(おくる)』のメルヴィル・プポーが主演を務めるほか、『勝手に逃げろ/人生』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のナタリー・バイが出演。鮮やかな色彩の映像と共に、切なくも強く生きるカップルの姿に魅了される。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

カナダのモントリオールで国語の教師をしているロランス(メルヴィル・プポー)は、ある日、恋人のフレッド(スザンヌ・クレマン)に対して女性になりたいと打ち明ける。ロランスの告白にフレッドは激高するも、一番の理解者になることを決める。迷いや戸惑い、周囲の反対を乗り越えて、社会の偏見に遭いながらも二人の人生を歩もうとする。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

「わたしはロランス」アバンギャルドにして古典派の風格。24歳の天才監督が描く奇妙な愛の時間

 映画史には時おり、不敵なまでの若さを誇示する恐るべき才能が現われるが、カナダの仏語圏出身、24歳のグザビエ・ドランは間違いなくその一人だろう。

 作家を目指す国語教師ロランス(メルビル・プポー)は、ある日、突然、恋人のフレッド(スザンナ・クレマン)に「女になりたい」と告げる。最初、フレッドは困惑しつつも、女装して通勤するロランスを徐々に受け入れ、愛し続けようとする。母親のジュリエンヌ(ナタリー・バイ)は達観の境地だ。しかし、周囲の偏見と冷淡な視線にさらされ、次第にふたりのあいだにも避けがたい葛藤と亀裂が広がり出す。

 ロランスの主観ショットの多用と、絶えず揺れ動き、疾走するキャメラは、暴発寸前のふたりの痛ましいほどの感情の軋みをそのまま体現しているかのようだ。

 突然、大時代なベートーベンが鳴り響き、居間のソファーの上に豪雨が降り注ぐかと思えば、空からカラフルな衣服が落ちてくる、一見意表を突くシーンも、奇をてらったものではなく、周到で綿密に計算された華麗なオペラ演出をみているような視覚的愉悦をもたらすのだ。

 映画は1989年から10年にわたって別れと逢瀬を繰り返すふたりの奇妙な〈愛の時間〉を繊細かつ大胆に描き出す。この映画の大河小説のページをめくるような独特の悠久な時間感覚は、冒頭でロランスが引用するプルーストにきわめて似ている。

 作家として成功したロランスがインタビューを受けていると、夢想したかのようにある光景が浮かび上がってくる。映画は、まさに〈見出された時〉ともいうべき初々しさで、その円環を閉じる。アバンギャルドにして古典派の風格。やはり、グザビエ・ドランは端倪(たんげい)すべからざる才能である。(高崎俊夫)

映画.com(外部リンク)

2013年9月5日 更新

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