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3.0点
…あらすじは、解説のとおり。 かつては作家を目指していたジェルマン(ファブリス・ルキーニ)だったが、自分の才能の無さに見切りを付け、今は高校の国語教師として平凡に暮らしていた。 ある日、生徒たちに作文の宿題を出す。 どれもこれも作文とは言い難いお粗末な出来栄えだったが、一人だけ才能の片鱗を感じさせる生徒がいて、その作文が、~続く~となっていたので、添削指導しながら続きを書くように奨める。 しかし、その生徒クロード(エルンスト・ウインハウアー)は、実際に体験したものしか書けなかったので、同級生の数学の家庭教師を名目にその家庭に入り込み、その家族の一員たらんとする疑似生活を送り、物語の成り行きをジェルマンの指導、あるいは意見を交わしながら、登場人物のそれぞれの虚実の人生が描かれるというもの。 ジェルマンの妻役にクリスティン・スコット・トーマスが配されていてなんともお似合いの夫婦だったが、作文を通じてクロードを導いているつもりのジェルマンが、知らぬうちにクロウドに翻弄されていく様はなかなかブラック的なスリルがあり、痛烈なしっぺ返しも待ち受けていた。 ラストの、疲弊し切ったジェルマンとクロウドが公園のベンチに座り、マンションの区割りされたそれぞれの他人の家族を眺めるシーンは印象に残る。 外側から眺めているそれぞれの家族は虚でしかなく、実を知りたければ、その家族の真の一員にならなければならない、と思わせる一見の価値はある作品だった。
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