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危険なプロット
2013年10月19日公開

危険なプロット

DANS LA MAISON/IN THE HOUSE

R15+1052013年10月19日公開

一人旅

4.0

文才生徒が書く最後の1ページは…

フランソワ・オゾン監督作。 高校教師に指導された文才のある生徒が常軌を逸した行動を引き起こしていく姿を描いたサスペンス。 フランスの鬼才フランソワ・オゾン監督がスペイン人作家フアン・マヨルガの戯曲を映像化した、巧みな構成に基づいた“(官能的)サスペンス”の佳作。作家になる夢を諦めた国語の高校教師ジェルマンが、生徒クロードの書いた学友ラファと彼の両親を題材にした作文に惹き込まれ、彼の文才を伸ばすためマンツーマンで指導に当たるが、クロードはラファの美しい母エステルに対する欲望を膨らませていきやがて倫理に反する過激な行動をとっていく…というお話で、親友の母親に魅了された主人公の危険な行動に伴うスリルと、美しく慎ましい母親が放つ官能性にドキドキの止まらない作風となっています。 構成が巧みな作品で、クロードが教師ジェルマンに提出する作文の内容と、クロードが親友ラファの家で体験した出来事が同時的に重なりながら彼の口によって語られていきます。邦題「危険なプロット」の通りに、クロードの体験がそのまま彼の作文の1ページとなり、やがては最後の1ページが明らかにされるに至って映画全体のプロットが構築されていく仕組みです。ジェルマンはクロードと親友家族の関係性の変容を第三者的視点から傍観しますが、そうしたジェルマンのある意味無責任な立場は“クロードの作品(作文)の一部”に図らずも組み入れられることで劇的に転回するのです。つまりはジェルマンの中のフィクション(作文)と現実の境界の崩壊です。エステルに対してクロードが抱く欲望のように、ジェルマンもまたクロードの書く作文の続きが読みたいという欲望に駆られている。作文の“共犯者”でもあるジェルマンは、クロードの思惑によって驚愕の結末へと迎え入れられていくのです。 主演のエルンスト・ウンハウアーは謎めいた文才生徒を落ち着きを払って妙演していますし(風貌はどことなく若い頃のジャン=ピエール・レオ風)、彼を指導するファブリス・ルキーニは良い意味で平凡な教師役に徹しています。二人の関係性はまるで『ベニスに死す』(1971)の再現のようです。そしてクロードの欲望に翻弄されるヒロイン:エマニュエル・セニエ(ロマン・ポランスキー監督の妻)の放つ成熟した大人の色気に悩殺されます。

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