作品レビュー(4件)
- waka
3.0点
2022/04/21(木)日本映画専門チャンネルにて鑑賞。 じわじわと来ますね。長尺も慣れっこになりました。これもこの監督の持ち味だな。
- ********
5.0点
2012年。濱口竜介監督。劇団の脚本家と演出家のカップルが芝居を作っていく様子とその芝居からなる二部構成で4時間超。すごいものを目撃しているという思いが持続したのは「ハッピーアワー」以来。ともに長編だし、かたや東京かたや神戸の都会に生きる男女を描いたほぼ素人を役者とする群像劇という意味で姉妹編と呼ぶべき傑作だった。他の作品と勘違いしてチケットを買ってしまったのだが、こういう幸運もあるのだ。ハリウッドで評価されると、埋もれてしまいかねないかつての良作が日の目を見るというご利益があるんだなあ。 会話や挿入される詩から言葉への意識的なアプローチがよくわかる。言葉では届かない、しかし、言葉でしか繋がれない。それをあれやこれやで変奏していく。つながるようでつながらない。もちろん、それは東京から多摩川を挟んであちら側に住んでいる主人公カップルの地理的配置にもあてはまる。川を渡る電車と道路。彼らはそれぞれの交通手段を取ることもあれば、一緒に手をつないで歩くときもある。橋を渡りながら夜が明ける、その会話と映像の美しさ!(夜の電車を撮るのがうまい。これも「ハッピーアワー」に通じる。駅のホームでうずくまること、再会すること、すれ違うこと) すごい映画は無意識的にすごいものを捉えてしまうのだろうが、2011年2月上旬から下旬へと向かう日付が東日本大震災へのカウントダウンに見えてしまう。ラストで一気に二年後になるとき(しかも北朝鮮と韓国の戦争状態!)、フィクションの醍醐味が表れる。「現実」には戦争などなかっただけでなく、震災ですべてが変わってしまっていたのだ。虚構性がむき出しになるすごい瞬間だ。 前半では脇役扱いだった主人公カップル以外の劇団員が、後半の芝居では実に生き生きと躍動していることに驚く。特に主演を演じる女優さんがだんだん美しくなっていく姿には凄みさえある。「ハッピーアワー」の「桜子」に似てきたような気がするのは思い込みか?
- da5********
2.0点
御しきれないのに「有事」のことなんか扱う必要なかった。朝鮮戦争にかんする部分は丸ごと余計。陳腐で荒唐無稽で非現実で甘っちょろくて青臭いシナリオだ。3・11の直前に繰り広げられてる作品世界なのだから、むしろ震災や原発との絡みを描けなかったか? てことで、前半の主役級だった朝鮮行く男の役割が、終盤まったく思い出されないぐらいに意味不明だった。上手ぶってる下手くそシナリオ。 ニューハーフみたいなやつも、前半隠れてて後半パッと咲いたかと思ったら終盤やっぱり物語から消えてて、スパイスかオーナメントキャラにしかなっていなかった。むだづかいゆえに、申し訳ないけどキモイだけと思ってしまう。 じゃあ、夜の長回しでやたら威張っていた演出家カップルはどうか? 役柄的には立派だったし演技もよかったけれど、与えられたセリフ群が死んでる上に、根本的に人間として華がない。ルックス云々というより、一般人よりももっと普通すぎる存在感が視覚的でなさすぎるのだ。ゆえに、ひたすらに喋り続ける。彼らが喋れば喋るほど、作品は演劇からも詩からもむしろ離れて単なる説明へと堕する。 例えていえば、吉祥寺のハモニカ横丁をただ歩き回って結局どの店にも入る勇気がなくて駅ビルでチーズ一つ買って小金井あたりのつまんない町へ帰っていくシケた人たち──みたいなカップルだ。映画観てる我々の方がよっぽど一人一人スペシャル感を持ってるんじゃねーの? 前半全部削ってラストも消して、演劇だけを撮ってもよかったんじゃね? 劇のヒロイン役は美乳だった。Cカップぐらいかな。
- nabejp
5.0点
2013年6月1日ポレポレ東中野、上映前の舞台挨拶。「この作品に追いつかれたくない、できれば過去になってほしい作品」と濱口監督が話した。その意味がよくわからず、観客は見始めたのだが、、、最後にその意味がわかる、、、ネタバレにならないために、それは明かさない。ぜひ見てほしい、傑作。