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もうひとりの息子 (2012)

LE FILS DE L'AUTRE/THE OTHER SON

監督
ロレーヌ・レヴィ
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4.05 / 評価:196件

もうひとりという意識。

  • しょーん。 さん
  • 2014年1月14日 0時31分
  • 閲覧数 922
  • 役立ち度 8
    • 総合評価
    • ★★★★★

第25回東京国際映画祭でグランプリと最優秀監督賞に輝いた作品。
タイトルと内容からいって、あれ、また取り違えの話?と思うが、
今作は赤ちゃん取り違え事件+民族間対立問題を扱っているので
もっと根深い。ところが観終えた印象が、実に軽やか~。
その要因は何だろう?と思った。是枝監督の邦画も優しい終わり方
を見せていたが、あれともまた違う。私はその後、モデルとなった
ドキュメンタリードラマの方も見たが、あっちはかなり辛い話だった。
邦画は取り違え事件の一本に絞られているが、
こちらは民族対立の続くイスラエル・パレスチナ問題が絡んでいる。
自分達の息子であるのと同時に敵であると(土地を奪われた)考える
辛い選択肢が壁となって双方の一家を苦しめ続けるのだ。
特にパレスチナ側の父親と兄の葛藤たるや日本人には理解できない。
ここまで根深く横たわった問題に、何でまた取り違えなんて起きたの?
と勘繰りたくもなるが、この作品では、あらゆる偶然をサラリと説明
するに留めて、中盤ですでに息子同士が交流を交わすまで持っていく。
民族間、家族間の対立する苦悩や憎しみを描きながらも、
一番大切なのは当の本人達の気持ちだろう?と打って出るのである。

なにが悪い?と思わせるのは、家族の温もりと息子を愛する気持ちが
全面に顕れているからだろう。母親同士が目で訴える「もうひとりの
息子に逢えたのだ。」という想いが何者にも勝っている。手を伸ばして
容易に触れることができない頬も、抱きしめたいその身体も、お互い
「実の親子である」ことを証明して止まない。同時に現家族を重んじる
気持ちと自身のアイデンティティーに隔たりを感じながら、その苦間
を軽やかに走り抜けようと奔走する息子たちの行動描写が素晴らしい。
親がそうなら、息子もこれだけの意識を持てるのかと唸ってしまった。
こういった描き方や価値観を持つことが、日本人にはできるだろうか。
事実は事実として、受け止めざるを得ない。
正直に問題を受け止め容認するお互いの理解は、息子がすでに成長
していることもあるだろうが、戸籍や出生に拘る生き方を潔く越える。
どこに目を向けるべきかを正面から訴えてくるのだ。

他方面から観ることで意識もきっとまた変わる。
製作したのがフランス人、受賞が東京国際映画祭という国境なき映画
が齎す世界平和を是非とも多くの人々へ。

(このタイトルが本当に素敵。壁を越えるためには意識を変えていこう)

詳細評価

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