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もうひとりの息子 (2012)

LE FILS DE L'AUTRE/THE OTHER SON

監督
ロレーヌ・レヴィ
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4.04 / 評価:178件

民族の違いか、家族の絆かを問いかける

  • 文芸サロン さん
  • 2014年3月31日 22時19分
  • 閲覧数 496
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

 日本でも昔からある「取りかえばや物語」の設定で、舞台となっているのは現代のイスラエルである。取り替えた子どもというのがユダヤ人(イスラエル人)の子とパレスチナ人の子というのが何ともややこしい関係性を予測させる。
 いうまでもなくこの両民族は、パレスチナ地区を巡って対立関係にある。圧倒的優位な軍事力を持つイスラエルはパレスチナ人を封じ込め周囲を塀で囲ってしまっている。パレスチナ人は窮乏生活を強いられており、すぐ外で繁栄を謳歌するイスラエル社会と対称的である。
 物語はこの対立構図と子どもの取り違えを巧みに暗喩している。主人公となるのはこの両民族の家族である。まずイスラエル人家庭に育てられたヨセフ(実はパレスチナ人)が、兵役検査で、親との血縁関係がないことがわかる。調査の末に、ヨセフは病院で別の家族の子どもと間違えられたことがわかる。その背景に湾岸戦争当時の混乱という時代背景があるのも、映画が国際情勢を取り込もうとする野心的試みのあらわれである。
 ヨセフの実の親はパレスチナ人で、ガザ地区で暮らす一家である。両家の親同士が初対面する重苦しい場面から先映画は、両家と取り違えを受けた子どもたちの物語として進んでゆく。
 この構成は昨年公開された是枝裕和監督の「そして父になる」と驚くほどに酷似している。ただ民族背景という深刻な問題性が本作には横たわる。
 とはいえドラマとしての完成度では、残念だが是枝作品に適わない。是枝作品はドラマとしての掘り下げを徹底させている。それに対して本作は社会背景の描写の比重が高くなり、ドラマの部分はいささか薄くなっている。
 問題提起という目的からすればやむを得ないところでもあろう。だがドラマという主眼が弱い分だけ、映画はややもすれば退屈に思える。淡々とした日常描写に徹したいという演出の意図は理解できないでもないが、もっと親子や血縁といった葛藤の要素を物語として扱うべきではなかっただろうか。なぜならそこにこそドラマの要素があるものだからだ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

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