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もうひとりの息子
2013年10月19日公開

もうひとりの息子

LE FILS DE L'AUTRE/THE OTHER SON

1012013年10月19日公開

yxf********

4.0

ネタバレ血より、8メートルの「分離壁」が壁に。

テルアビブに暮らすイスラエル人家族(シルバーグ一家)の長男ヨセフ、パレスチナに住むアラブ人家族(サイード一家)の次男ヤシンは18年前の湾岸戦争時の混乱のなか病院での取り間違えられて、それぞれの家族で育てられてきた。 ヨセフの徴兵検査時の血液監査で、この事実を知ることになったそれぞれの家族の苦悩と葛藤が描かれています。 この作品は「そして父になる」と比較されますが、ここでは、間違えられた子の年齢が6才、日本人同士の取り間違で、両親の心情主として血の問題としての葛藤が描かれています。 「もうひとりの息子」は間違えられた子供が18才になっており、血の問題、ユダヤ人とアラブ人という人種、「分離壁」で隔てられた宗教的・政治的に対立する民族の問題、根深い対立が続くイスラエルとパレスチナを遮る高さ8メートルの「分離壁」(映像でしばしば出てくる)が大きな問題になっている。 取り違えミスを知った両家の夫婦は面談するが、ユダヤ人の母とアラブ人の母は二人の息子たちの立場や心情をすぐに理解しすべてを受け入れるが、父親たちは受け入れようとする姿勢を見せず、部屋から立ち去ってしまうシーンが象徴的。 しかし、お互いの家族が交流することで、本人たちには友情が、父親たちにも実の子、兄弟たちは兄、弟として、血の繋がりで受け入れるようになる。 ラスト近くで、ヨセフとヤシンとヤシンの兄が浜辺で遊ぶうち、ヨセフがならず者に刺されヤシンと兄が彼に救おうとするシーン、ここで血や民族を超えた友情が生まれる。ヤシンがフランスに留学、医学校に進学するという設定は、フランスという国の係わり合いが、宗教・民族の垣根を越えた社会の存在に大きな目を開かせており、8メートルの「分離壁」が乗り越えられることを示唆しているように思われます。

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