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スターティング・オーヴァー
2013年6月22日公開

スターティング・オーヴァー

842013年6月22日公開

エルフ

5.0

制約が凝縮感を醸成、二人の行く末は…。

10年間付き合った末に別れを決めた洋子と太郎。 最後の晩餐と称して太郎が作ったオムライスは伊丹十三監督の映画「タンポポ」のあのシーンが鮮烈に思い出され、不思議なリンク感がありました。 他にも登場するレシピから映画好き・料理好きの心をそそる粋な計らいとこれらの作品へのリスペクトが感じられました。 ポトフを煮込むのに使った日本酒「越乃景虎」や油揚げのお話も登場します。 いずれも五藤利弘監督作品「モノクロームの少女」の舞台となった新潟県栃尾地域の名産品であり、話のつながりが納得できると思います。 五藤監督の郷土愛が感じられるとともに、故郷を離れて東京で暮らす若者の郷愁が描かれていました。 もう一つのキーポイントは柿の種でしょうか。 作品中に登場する二つの柿の種の缶が元でハプニングとなり、太郎が狼狽する様子がユーモラスに描かれていて爽快感ある笑いを誘いました。 過去に複数の恋愛経験がある男性なら誰しも思い当たる節がある経験なのではないかと思います。 太郎は真夜中の街をさすらい、「絣(かすり)」という名のバーへ。 店主が太郎に説く台詞が人間関係の縮図を端的に表現していて実によかったです。 その台詞が私の心に強く響きました。 他の方もレビューされているとおり予算の制約があるシリーズながら、その制約がむしろシナリオの面白い部分を凝縮していてよい方向に働いていると感じました。 全般的にゆっくりとストーリーが展開されながらも次の展開を想像させるに程よいペースであり、要所要所に切り返しのシーンが組み込まれていて話の成り行きを楽しむことができました。

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