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オーソン・ウェルズの オセロ

オーソン・ウェルズの オセロ

THE TRAGEDY OF OTHELLO: THE MOOR OF VENICE

94

bakeneko

5.0

ネタバレオセロはやはり白黒画面じゃないとね!

シェークスピアの4大悲劇にして、オペラでも傑作である“オセロ”のオーソン・ウェルズ版で、ロケ地であるモロッコの城砦の特異な構造と強い太陽光線による陰影の濃い映像が見事な仕上がりを見せてくれます。 本作の見所は何と言っても“映像の美しさと力強さ”で、ロケ地モロッコの眩い太陽と白い街並みが悲劇を彩っています。 ウエルズらしく古典を現代的に演出していて、物語展開は早くサスペンスフルになっていますし、パンフォーカスや俯瞰を多用した縦横無尽のカットバックや、クライマックスの殺しの場面などのオリジナル&ビジュアルな変更も才気が光っています。 冒頭から、原作の時間軸を引っ繰り返して物語を熟知している観客に新規感覚を抱かせるー機知に富んだオセロの最高傑作で、「第三の男」などに俳優として出演して経費を捻り出し、俳優は多くが舞台人や友人(イヤーゴ役のマイケル・マクラマーは映画と異なって大親友でした!)、何度も頓挫して最後にモロッコに行き着いたときには4年掛かっていた…ことを知らなくても、見事な緊張感と映像美に貫かれた映画となっていますので、“オセロなんかもう何度も観たよ~”という方も是非ご覧くださいな! ねたばれ? 1、ロケ地について 大西洋に面したモロッコ中部の街、エッサウィラは15世紀にポルトガル人が発見してからポルトガルの貿易と軍事の拠点として発展しましたが、1541年モロッコの部族との争いで街は衰退します。この街を建て直したのはイスラムのスルタン:シディ・ムハンマド・ベン・アダブラーで、1765年にフランス人の建築家:テオドール・クールニュによって設計された街は、ポルトガル、フランス、ベルベル人の建築様式が混在し、 現在北アフリカで最も美しい街の一つと言われています。また、1769年には絶壁沿いに突き出した城塞に大砲を配置し防衛拠点とします(ここが「オセロ」に使われました)。エッサウィラという名はこの時つけられ、19世紀にはアフリカ西海岸で唯一ヨーロッパ人に開かれた港湾都市にまで成長し、西洋の芸術文化も流入しました。20世紀に入ってモロッコの中心がカサブランカに移ったため再び街は衰退し、現在では観光と前衛芸術家の街として知られています。 2、可憐なヒロインを演じた:スザンヌ・クルーティエはカナダ出身の女優さんで1950年代の前半のみに活躍しています。女優として売れてきた1953年に舞台公演で知り合った名優:ピーター・ユスティノフと恋に落ちて1954年に結婚して家庭に入っています(デブ好みの良妻賢母ってことでは「オセロ」のヒロインは適役でしたね♡)。

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