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大統領の料理人
2013年9月7日公開

大統領の料理人

LES SAVEURS DU PALAIS/HAUTE CUISINE

952013年9月7日公開

rai********

4.0

ネタバレどちらの職場もほろ苦いけど希望がある

フランス大統領の料理人時代の話と、南極のフランス基地の料理人時代の話とを行ったり来たり、同時並行という斬新な構成。南極では、前任地について多くを語りたがらない。エリゼ宮殿で何があったのだろう?と思わせる。 大統領の料理人はもちろん貴重な体験ではあったが、労働者的な雰囲気ながらプライドの高いメイン厨房との対立、食材にコストをかけすぎだという大統領府内からの批判、ニコラと苦心して作り上げたデザートが大統領の健康不安からボツにされるなど、心労も多く、結局2年で辞めたのだった。 肝心の大統領からは、シンプルなお母さんの味を作ってくれ(Faites-moi une cuisine simple. Une cuisine des meres)という注文しかない。「これこそ私が求めていた料理だ」と舌鼓を打つ、うまーい、というシーンがあった方がわかりやすかったと思うが、あえてそれはせず。 大統領が厨房まで降りてきて、トリュフとワインを楽しみながら、「お互い追い詰められているが、逆境でこそ成長できる」と大統領とつかの間の会話を楽しむ。 大統領が外国訪問時に置手紙を残してエリゼ宮殿を後にしたのに対し、みんなに蛍の光を歌って送り出してもらった南極での辞め方のほうが幸せに見えるけど、最後は、両方の仕事を辞める話がオーバーラップし、2倍になった孤独と寂しさを漂わせつつも、次にやることへの清々しさ、力強さ、希望がある。これぞ人生と思わせる。

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