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プリズナー (2007)

TAKE

監督
チャールズ・オリヴァー
  • みたいムービー 6
  • みたログ 99

2.67 / 評価:49件

「普通の人」の痛みの再体験

  • morecambeandwise さん
  • 2019年1月27日 2時49分
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

映画を見るときは基本的に予備知識なしで見るので、DVDを借りるときもあらすじもろくに見ません。なので、ジェレミー・レナーだし、アクションか、スリラーだろう、と勝手に思い込んで見たら全然違いましたね。

エンドクレジットで解説が出てわかるのですが、「修復的司法」という、加害者と被害者を面会させてトラウマを癒したり、社会復帰を助けたりする試みなのですね。これが広まることで、罪を憎んで人を憎まずが実践できたら、それは素晴らしいことなのかもしれません。

物語の冒頭から、平凡な、平凡すぎる日常を過ごす主人公二人の暮らしがカットバックしていきます。時系列も現在と過去が微妙に交錯し、カットの色合いで時系列がわかりますが、その中にも幻影のようなものが見えるので、けっこう最初は戸惑いました。

ストーリーとしては割に単純で、アナという女性が死刑執行を見届けに行く。どうも死んだのはアナの息子ショーンらしい。で、死刑になるのはソール(ジェレミー・レナー)。ショーンには障害らしきものがあり、小学校の授業中に邪魔なので支援学級に移れと言われ、アナはいい教育を受けさせるためにはと、職探しをはじめるが全然うまくいってない。

片やソールは、もう全然ダメなチンピラで、貸し倉庫の管理人をやっているけれどカードの借金がかさんで客の品物を横流し、現場をボスに押さえられてクビに。もう目の前の2000ドルの借金を返さないとにっちもさっちもいかないクズぶり。

この二者の軌跡が丹念に描かれて、終盤に交錯する、という話。

ソールも事故のあとトランクで虫の息のショーンを見捨てて逃げる臆病さ、アナも息子の生命惜しさに目の前の重傷者に救急車を呼ぶなとか勝手を言うところ、普通の人が混乱するとこうだろうな、というめちゃくちゃぶりがとても痛ましい。ああ、こどもが死ぬストーリーなんだな、と理解した時点で相当鬱になりましたが、現在とのカットバックをはさむことでうまく緩急つけたと思います。

途中での神父との会話に、いまのキリスト教でできる犯罪者救済のある種の限界を描いているのかな、と思いました。紋切り型で優等生のああいう説教には個人的にも納得がいかないことがあったので、うまいなと思いましたが、敬虔なクリスチャンの人は悪意を感じたかもしれません。

ラスト、結局ソールは孤独に死ぬのか、最後にアナが部屋にもどって見守ってあげるのかな、と思ったりもしましたが、そういう甘口の話にはしませんでした。

「グリーン・マイル」「デッドマン・ウォーキング」などと少し共通するテーマだと思いますが、思いの外文芸大作な感じがしましたよ。

主演の二人、キャラクターの描きわけが見事でした。地味で苦労の多い仕事だと思いますが、いい映画です。

詳細評価

物語
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