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ペコロスの母に会いに行く (2013)

監督
森崎東
  • みたいムービー 156
  • みたログ 764

4.04 / 評価:556件

日本映画の惨状

  • sij******** さん
  • 2020年10月23日 5時03分
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

昔、キネマ旬報だったかSFマガジンだったかで読んだお話。
実際のある映画祭で上映された映画が、あまりにもつまらなく、観客が怒り出した。
はじめは、てんでにスクリーンに向かって怒鳴っていたが、誰かが字幕を音読しだすと、みんながそれに合わせだした。やがて全員が声をそろえて字幕を読み出し、大合唱のようになる。そして、フィナーレでは大いに盛り上がり、映画が終わると皆が拍手喝采した(むろん映画の出来に対してではなく、やっと映画が終わったことに対して)
最近、「爆音上映会」などの取り組みがあるので、本作も入場料500円、字幕付きにして、本作に低評価した人向けの字幕音読上映会をしたら盛り上がるのではないか。
などと、映画を見ながら途中からそういう妄想がとまらずニヤニヤしながら見ていました。
そんな作品です。

・介護、ソーシャルワーク上のつっこみどころ
はじめは、介護保険制度の無かった時代の苦労話かと思いきや、途中で主人公が「ケアマネさんに相談してみるわ」って、ケアマネ就いているの?
そして、汚れた下着をタンスに隠していることが分かった時。
ケアマネ「お母さんの認知症はかなり進んでいるみたいですね。施設にお預けしたほうが安心かと思いますけど。」
って、おいおい。これまでどんな在宅支援をしてきたんですか?認知症対応型通所介護は?訪問介護は?訪問看護や訪問診療は?居宅から施設へと生活環境が変われば認知症は急速に進行する可能性が高いでしょ?
ランタンフェスティバルが2013年になっていたから、介護保険制度ができてから10年以上経つ話と分かるのでこれらの在宅サービスは使えたはず。
 
ラストのランタンフェスティバルのシーン。
その前から、赤木春恵がずっと車いすを使っていたので、ついに下肢筋力が低下したんだなと思ってみていたが、ラストの迷子になるシーン。「どんだけ一人で歩くねーん」って。
家族やスタッフの探しっぷりを見れば、数100Mは歩いているよね。
それだけ歩ける人間に車椅子を常用させるなんて、認知機能と下肢筋力を低下させるだけ。
残存能力をいかに活用して維持向上を図るかという介護・ソーシャルワークの考えに逆行してる。


・映画のクォリティとしての突っ込みどころ
「お茶ば飲んだけん、おしっこ行きとうなった」

「こんあと、ちいちゃんどげんなったっち言いよったかなぁ。実家に長崎からお菓子が届いたっちことは・・・・よか家に嫁いだってこと?」

「ちぃちゃんに手紙ばかかんと」

これは本作で、登場人物の周囲に誰もいない状況での演者の独白の一例である。
基本、独白や演者の考えていることをセリフで表すのは、演技力・演出力の放棄だと思っているし、現にそれがグローバルスタンダードといえる。独白等が手放しで許されるのはTVの世界。映画でやる場合は、そのセリフがよっぽど気が利いているか、TV並みのクォリティですと認めている証。本作は後者。
独白しない一例を挙げるなら、「エージェント」でエージェント会社の創設メンバーのトム・クルーズが同僚の反乱で解雇を言い渡されたときのシーン。場所はレストラン。トム・クルーズは内心怒り狂っているであろうが、公共の場で怒鳴ったり胸倉をつかんだりというのは地位上憚れるので、一瞬、手元の水の入ったグラスに目をやる。コップの水を相手にぶっかけたいだろうが、公共の場でそういうことをする社会的地位の人間ではないので、その衝動を怒りとともに抑える表現を、トムの目線やコップの水の微かな揺れで表している。
これが映画です。

後、子供のシーンについて。
感動を起こすネタとして子供を使うというのはあります。
が、そこでは、子供と大人の演技力やその場の演出に高度なものが要求される。
子供の演技がイマイチだったりセリフに感情が乗っていないと、大きなマイナス点になります。本作のように。

日頃、TVしか見ない人にもお金を払って劇場に来てほしいと考え、本作のようにTV的なつくりにするのは、映画もビジネスとしての面があるのでアリです。
ただ、その作品がキネマ旬報1位をとるとなると、映画製作会社だけではなくそれを評価する基準もTV水準になったといえる。

というか、本作では、認知症介護は在宅で家族だけで見て大変な思いをするか、施設入居して家族も本人も楽になるかの2択しかないようなミスリードをしておいて、スポンサーがソニー生命て。
もはやTV番組ですらなく、「施設入居はお金がかかります、みんな親の介護に備えてソニー生命に入ろうね」っていうただのCMやん。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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