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カノジョは嘘を愛しすぎてる (2013)

監督
小泉徳宏
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3.45 / 評価:2434件

優しい嘘にも、その仮面の下に獰猛さを隠す

  • dr.hawk さん
  • 2016年5月11日 19時39分
  • 閲覧数 2928
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

DVDレンタル 2016.05.10


青木琴美著作の同名漫画作品の映画化(コミック『Cheese!』にて連載中の少女漫画)
ヒロイン理子役は一般から公募され、当時女子高生だった大原櫻子が選ばれた
監督は小泉徳宏(『FLOWER フラワーズ』)
主人公のサウンドクリエイター・小笠原秋役には佐藤健
ちなみに原作未読なので、あしからず


物語は秋の独白から始まる
彼は類まれなる音楽の才能を持ちながら、その純粋さゆえに、現在の音楽業界の商業主義に嫌気を差していた
創る音楽のクオリティは高く、人気バンドCRUDE PLAYの楽曲を制作し、影で支えている
今は音楽クリエーターの彼だが、結成当時はメンバーの一員だった
だが、当て振り(楽器の演奏のふりをすること)で活動することを余儀なくされ、それに対して「自分の音楽に対する礼儀」として、メンバーから外れることを決意した秋
ベーシストだった彼の音源を担当していた心也(窪田正孝)がメンバーに名を連ねたが、幼馴染と親友で結成されたバンドの中で、彼の居場所はなかった


そんな彼の元に、CRUDE PLAYのファンだと言う女子高生・理子が現れる
幸い表に出ていない秋は、正体を隠したまま彼女と親密になり、「本当の自分を知らない」存在に対して、息抜きの時間を得ようとしていた


音楽から離れたい衝動
それに対して才能は、時と場所を選ばずに、秋の感情の起伏に呼応しては浮かんでくる
その苦悩と逃れたい衝動
今の自分の成功は、本当の自分じゃない
そんな声が聞こえてきそうである


この映画は漫画原作ものとしては異例の好評の嵐である
実際に視聴した印象は、少女漫画的な要素が非常に強いと感じたが、作品の良さを活かした良作だと思えた
画としても美しく、音楽も本物
原作では実現できなかった要素をキレイに表現できている


好評の要因は理子役の大原櫻子の抜擢に尽きる
彼女の歌声と存在感、それに本物の音楽を亀田誠治が手掛け与えた
このコラボレーションが二乗にも三乗にもなった
劇中の全作詞作曲をを手掛けた亀田誠治は、まさしく秋のような存在である
(劇中音楽は岩崎太整)


この物語は、秋の内在する問題を露呈させるために理子が現れ、そしてそれを修復していく過程を描いている
そしてそれと並行して、才能豊かな理子が音楽でスターダムに上がっていく様子を描く
原作では理子の歌声が秋の本能を刺激し、内在する問題との葛藤の打開になると聞くが(未読ですまない)、この映画ではそのシークエンスは弾かれているようだ
その代わりに、理子の成功を自分の手で成し遂げたいという欲求と、自分の嘘を愛してくれる理子の存在に真正面から向き合うことを決意するという流れになっている


秋は「仮面」を被ったまま音楽で成功し、また「別の仮面」を被ったまま自由を手に入れたいと思った
だが運命は皮肉なもので、内在する葛藤を解消することなしに、真の前進はあり得ない


彼の「仮面」の正体は、一方は「礼儀としての嘘」、もう一方は「気まぐれの嘘」だった
だがどちらも「嘘」に変わりはない
「嘘」をつき続けても、塗り重ねるだけで、底にある真実を変えることはできない
本質を変えることができなければいずれは破綻する
悲劇を生むまでつき続けるか、立ち止まって来た道を戻るかのどちらかしかない


秋を立ち止まらせたのは、「理子の歌声」か「愛」なのかはわからない
その真相は想像あるいは続編でしか語られないだろう
だが、余韻を含めて、映画の楽しみは解釈に依るところが大きく、未完の作品の映画化で結論づけるのは無意味だろう


大原櫻子の歌声と佐藤健の美しさ


これを堪能する映画としては最高のデキであったと言える

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