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るろうに剣心 伝説の最期編
2014年9月13日公開

るろうに剣心 伝説の最期編

1352014年9月13日公開

吉田敬

1.0

ネタバレ時代劇って……

ただ派手なアクションを見せればいいってもんじゃないんですけど。 この映画を観ている間、ずっと何かがおかしい、何かが変だって思ってたんですけど、ええっと所作っていうかな、そういうものが役者さんの演技からも、演出家の振り付けからも、すっぽりと、見事なくらい、完全に欠落してしまっているというのがね。 観終えてからしばらくして、分かったんですけどね。 時代劇って、そういうところ……たとえば、他人の家へ招かれて、座布団を勧められた時、勧められたほうは、こう、すっとね……脇へ座布団を退けるとか、ちょっと立ち上がって、茶箪笥の上にあるものを取るとか、縁先から草履を履いて、歩き出す時に、登場人物がどういう動きをするかとか、そういうところがきちんと押さえられていないと、時代劇にならないんですけどね。 役者さんの、そういう日常芝居って、カットが変わると、もういきなり主人公が縁先に座ってたりとか、庭でぼけっと突っ立ってたりとか、そういう芝居ばっかりなわけですよ。 監督もそれじゃ、不味いとでも思ったのか、登場人物が魚焼いてたり、野菜を持ってたりするんですけど、そんな演出で生活感が出せるとか思ってるんなら、もう時代劇は撮らないほうがいい。 いや、撮ってほしくないです。 それじゃ登場人物の気持ちなんて、何も伝わって来ないし、時代劇を観てる気がまったくしませんからね。 クライマックスの後のラストシーン、主人公が庭に突っ立って、空を見上げてましたけど、観ていて、何か伝わってきましたか? ……え? これは江戸時代じゃなくて、明治だからいいんだって? ははは……江戸が東京に変わったからって、すぐに江戸の庶民の生活が変わるわけないじゃないですか。 ある程度、時代劇への出演経験のある、あるいはベテランと呼ばれるような人が出ていれば、そういうところは、ちょっと君、それじゃダメだよとか何とか言うもんだと思うんだけど、若手のスターばっかり集めたせいかなあ、誰か現場で言う人はいなかったんだろうか。 ワイヤーアクションとか、そういう派手なシーンなんて、本当はいらないんですけど。 鬼平犯科帳とかで、中村吉右衛門を、ワイヤーで吊ったりします? 時代劇を時代劇たらしめているところって、そういう派手なシーンじゃありませんよ。 主人公の緋村抜刀斎……だったか、そんな伝説になるような凄腕の剣豪なら、こう、すっと……刀を抜いてね、敵と相対した瞬間に、その凄みが伝わってくるくらいでないと、本当はダメなんじゃなかろうか。 敵が恐怖を感じるくらいでないと。 これじゃ、本当にただの人斬りで、剣客ではなくなってしまいますけど、いいんでしょうかそれで。 極端な話、斬り合いのシーンなんて、少しあればいいんですよ。 だけど、この映画の場合、斬り合いに至るまでのプロセスをみんな省いてしまうから、主人公の凄さも、情感も、もののふのあわれも、何にも伝わって来ないんです。 市川雷蔵なんて、佐藤健の半分も動けないでしょうけど、彼が鞘から刀を抜いて立った時なんて、侍以外の何者でもなかったですよ。 いやはや、時代劇も舐められたもんです(笑)。

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