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愛情は深い海の如く (2011)

THE DEEP BLUE SEA

監督
テレンス・デイヴィス
  • みたいムービー 5
  • みたログ 67

3.00 / 評価:38件

女優賞も納得 だけれど、脚本と演出が…

  • とみいじょん さん
  • 4級
  • 2017年7月23日 22時59分
  • 閲覧数 935
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

ワイズさんの、自己の存在を自分自身で確信できずに不安が強い女性の、心の動きが繊細でひきこまれる。

現代でもよくいる女性のタイプ。
 男二人を振り回すつもりはなく、自分への愛を示してくれて、”お人形”ではない、生きていれば当然感じる愛欲とか等身大の自分を愛してくれるだろう関係を求めて、結果男を振り回してしまう女性。

ただ、自分を甘やかしてくれる関係を”愛”だと勘違いしているのなら、なんで夫が手を差し伸べた時にへスターは振り払うんだろう?そこにへスターなりの自身の存在に対するこだわりがあったんだろうな。

”愛”って、”夫婦”って、”家族”って、”自分を貫く”って、どういうことだろうと、へスターの生き方を見ながら感じ、考える。

夫は、へスターの何を愛したのだろう?容姿?彼なりに愛しているんだろうけれど。この夫婦はどんな時一緒に笑うんだろう。夫婦って笑いのツボが一緒だったら、とりあえずやっていけるとよく言うけれど、この夫婦のそんな場面が思いつかない。
 「欲望と愛情は違う」というし、夫は優しいけれど、”へスター”という”人”を愛しているようには見えない。誰でもよかったんじゃないか。家柄が良くて美人でそれなり教養があれば。まるで”人形”のよう。今でも、専業主婦の悩みに「奥さん、お母さんとだけ呼ばれて、自分がなくなっちゃう」というのがあるが、そのまんまの生活。夫との生活は鑑賞している私まで息が詰まるようだった。

自分の愛欲も含めて、自分の中に沸き上がる思いー別に夜の生活だけではなく、生活へのはりも含めて、受け止めてほしい、認めてほしいと思うのは罪なのだろうか。
 尤も、現実には、子どものこととか関係する人々とのことを考えて踏みとどまってしまう。もしくは、今なら趣味や仕事・やりがいとか見つけてそんな思いを昇華させるけれど、へスターはそうはしなかった(良家の妻という立場から、あれだめこれだめとできなかったように見えた)。

そして、そんな思いを受け止めてくれるはずだと思い込んだ男のもとへ身を寄せたけれど…。


原作は舞台だとか。
 だからか、基本、へスターたちの住居周りを中心として、過去等が入れ子のように入り込む。
 その入れ子の部分と、現在進行形で進んでいる話とかが区別しづらい。着ている洋服で区別する感じ。舞台なら、スポットライトの当て方とか、舞台を反転・暗転するとかで区切りがつくんだろうが。

また、解説にあるような、愛人のアルコール中毒・DVでへスターが追いつめられる様があまり描かれていない。愛人はキレるその様はすごいが、へスターがやらかしたことに対して怒っているようにみえて、私もその程度でそれやるかと愛人と同じように思い、へスターのわがままに見える。
 もちろん、”やらかした”理由はあくまできっかけで、本当のところへスターの存在感の不安定さから”やらかした”っていうそんな様子をワイズさんはきっちりと演じてくれてはいるので、それはそれで話は通じるのだけれど。

途中、大家が愛について良いことを言うけれど唐突に思えてしまった。へスターがやらかす前の、愛人からのDVについて描かれていないから、へスターが『イソップ童話・アリとキリギリス』のキリギリスに見えてしまう。
 キリギリスはキリギリスなんだけれど、酒場で歌っている場面でさえ、楽しんで笑ってはいるけれど、その笑顔の奥に不安におびえた引きつり笑いが見え隠れするから、観ていてすっきりしない。
 それならそれで、へスターがこんなに情緒不安定な女に育った背景がしっかり描かれていれば、鑑賞しているこちらも共感しやすくなるが、そのあたりもおざなり。ちらっと、父も夫も体裁を気にするだけで、へスターの内面はみてくれずに、へスターが自分の思いに振り回されているという場面があるだけ。分かち合えば幸せは倍に、苦しみは半分にというけれど、父とへスター、夫とへスターの間ではそんな分かち合いさえないのだろう。と頭で補うが、映画のシーンではへスターが一方的に喚いているだけで、伝わらない。

だから、へスターの生きざまを、頭では理解しようとするが、共感できない。大家と一緒で、快楽だけ求めようとしちゃ、もしくは相手に求めるばかりじゃだめよと、へスターを突き放したくなる。

そういう女の顛末を描きたかったのかな?だとしたら、監督の意図は成功しているが、共感できないので、二度鑑賞する気にならない。
見直したら、違う点に気が付くのかしら?
とはいえ、現時点では、せっかくの良い素材なのに、もったいないなあと思う。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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