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囚われのサーカス (2008)

ADAM RESURRECTED

監督
ポール・シュレイダー
  • みたいムービー 5
  • みたログ 45

3.24 / 評価:34件

人間の生と尊厳を問うドラマ

  • fal******** さん
  • 2016年2月7日 0時29分
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

ナチスによるユダヤ人迫害を描いた映画は多くの観たが、この作品のようにホロコーストでの虐殺を全く描写しない作品、演出は珍しいと思う。
にもかかわらず、主人公が受ける仕打ちはある意味殺されるよりも恐ろしく、またおぞましいほどの残虐性を含んでいる。
以前の彼はベルリンで一番と称される売れっ子で、伊達男にして知己に富みユーモアのセンスも抜群の芸人。ホロコーストへは家族と共に収容されるが、そこに待ち受けるのは家族と引き剥がされ、司令官の「犬」としての生きるだけの生活。走狗(いぬ)ではなく文字通りの犬。この司令官は彼の舞台を観たことがあり、彼のキャリアを承知で自分の玩具として扱う。
どうにか家族を救ってもらおうと、ありとあらゆる辛苦を舐めることになるが結局解放される時点で彼の家族は消息不明。後に娘が生きているとの情報を掴み、イスラエルへと足を運ぶ。しかしその娘は出産で命を落とした直後。
娘婿であろう男からは「あんたが司令官室で遊んでいる間に娘がどんな目にあったと思ってるんだ。ナチ共に弄ばれ、母親を焼かれた彼女が笑った顔を見たことがない。墓に眠る彼女を笑わせてみろよ!」と罵られる。
恐らく彼が精神に異常をきたしたのはこの瞬間だろう。

物語のメインになる療養施設には様々な人間が収容されているが、全てナチスによって心が壊れた患者ばかり。その中で彼は極めて特殊な存在として描かれる。患者としてだけではなく、患者たちの拠り所として存在。しかし当然自身も深い闇を心に抱えている。
その状況下で出会う、ある少年との出会いが運命を変えるのか、、、。

尊厳を踏みにじられ、愛する家族はじめ全てを失って心が壊れた主人公。最後に残された救いは生か死か。そしてそのいずれかに真の救いあるのか?
オチは作品をぜひ観ていただきたいと思う。
回想シーン(モノクロ)と現実のシーンとの描写が物語をやや判りずらくしており、この手の作品が苦手な人はアレルギーを起こしそう。作品の核心に至る過程が難解なので、差し支えのない範囲であらすじを載せてみた。
J・ゴールドブラムの演技は特筆もの。本来なら泣ける場面でのあの演出(少年が立ち上がるシーン)は好き嫌いが分かれそう。
それでも戦争による悲劇を描いた作品の中ではかなり考えさせられる一本だと思う。社会派映画の好きな人にはお勧め。嫌いな人は15分が限界かもしれないが 、、、

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
  • 恐怖
  • 絶望的
  • 切ない
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