ここから本文です

ぼくたちの家族 (2013)

監督
石井裕也
  • みたいムービー 250
  • みたログ 1,003

3.85 / 評価:694件

良かったな、オヤジ。今のは本音だぜ。

  • fg9***** さん
  • 2017年5月1日 14時30分
  • 閲覧数 1697
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

 …ジュリアン・ムーアの難病ものの『アリスのままで』を観終わった後に、また、難病ものを続けて観てしまった。
 …あらすじは、解説のとおり。
 母の玲子(原田美枝子)が脳腫瘍で余命1週間と宣告され、平凡に暮らしてきた若菜家に激震が走る。
 会社を経営する父親の克明(長塚京三)、結婚して独立したての長男・浩介(妻夫木聡)、大学生の次男・俊平(池松壮亮)は動揺を隠せない。
 やがて、病状が進んだ玲子は浩介のことが誰だか分からなくなり、ひた隠しにしてきた不満や本音を吐き出すように。
 さらに、克明と玲子の秘密も発覚し、浩介はこれまで波風立てずにやってきた若菜家が大問題を抱えていたことを知る。
 で、これ以上は治療の施しようがないと告げられて、浩介と俊平は受け入れてくれる病院探しに奔走するのだったが、それ以前に『若菜家が大問題を抱えていたことを知る』のだった。
 父親が経営する会社は経営不振で6500万円の借金を抱え、母親もまたサラ金から300万円もの借金があったことが判明する。
 浩介と俊平は父親に破産宣告を進めるのだったが、その負債の何割かは連帯保証人である浩介に降りかかるのだった。
 で、浩介は身重の妻に若菜家の内情を打ち明けるのだったが、奥さんからは若菜家の計画性の無さを痛罵され、自分たちの子供の将来のことを第一に考えると言い切られてしまうのだった。
 この時の奥さんは随分と憎々し気だったが、なんら反論できない浩介にもなんか苛立ってしまったな。
 『アリスのままで』はこのドロドロ感があまりなかったが、本作では終始重たい空気が淀んでいて、そのうちに土砂降りになるかと気が滅入ったものの、次男のチャラオの「こんな時ぐらい、笑おうよ」的な発言にはぶん殴って遣りたくなるほどの脳天気さだけが却って救いだった。
 そもそも、母親の借金は、中学生時代に引きこもりだった浩介に苦労させられて、パートの仕事を辞めざるを得なくなってのことだったし、それでも、ばらばらだった家族を陽気な母親が頑張って繋げてきていたのだった。
 その母親が壊れてしまった今、生真面目で正義感の強い兄の気持ちを和らげてあげられるのは俊平だけなのだった。
 で、その俊平が受け入れてくれる病院探しに奔走するのだが、そう簡単に受け入れ先が見つかる訳もない。
 そんなある日、テレビの占いのラッキーカラーの洋服を着て病院へ行ってみたら……鶴見辰吾医師……なんて誠実なお医者さん……ちょっぴり泣けてきてしまったがな~~。
 で、紹介された女性医師の板谷由夏も出番こそ少なかったが良い仕事をしていたな。
 こういった医師が沢山いることを祈りたくなってくる。
 話しが飛び飛びになってしまったが、壊れてしまった母親が本人たちのいる前で、浩介の引きこもり、父親の無能さ加減について滔々と愚痴を言うのだが、「でもねぇ、あの人のこと、好きなのよねぁ~」と母親が言い、そのことについて、俊平が「良かったな、オヤジ。今のは本音だぜ。」というシーンは救いだったな。
 で、結末では、前述の板谷由夏医師が家族に向かって病名を告げ、「治療出来るってことよ」とサラッと言うのだったが、これまで明るく振る舞ってきた俊平が「怖かった……」と呟いて兄の胸で咽び泣くシーンではじんわりとさせられた。
 で、借金返済、母親の治療費のために、浩介は少しでも給料の良い会社に転職し、身重の奥さんも旦那に逞しさを感じて、真の若菜家の一員となるのだった。
 前途多難であることは間違いないが、母親の難病を介して、崩壊していた家族が一枚岩になっていく進んでいく幕引きは、前半の暗雲立ち込める状況に、幾分か陽の光を感じられて爽やかで、なかなか見応えのある作品だった。
 第87回アカデミー賞主演女優賞に輝いたジュリアン・ムーアの『アリスのままで』を抑えて、☆四つ献上だ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 切ない
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ