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フィルス (2013)

FILTH

監督
ジョン・S・ベアード
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3.45 / 評価:227件

解説

『トレインスポッティング』の原作者でもある作家、アーヴィン・ウェルシュの小説を実写化したクライムコメディー。頭脳明晰(めいせき)ながらも、酒や麻薬に溺れ、さまざまな不正行為を働く刑事が、留学生殺人の捜査に乗り出したことから思わぬ事態に遭遇する。『つぐない』『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』などのジェームズ・マカヴォイが、下劣を絵に描いたような主人公を怪演。次々と繰り出されるブラックでシニカルな笑いに加え、ジェイミー・ベルやジム・ブロードベントといった実力派たちの共演にも魅了される。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

スコットランド警察の刑事、ブルース・ロバートソン(ジェームズ・マカヴォイ)。優秀な頭脳を誇り、活力あふれる彼だったが、その裏ではアルコールとドラッグの依存症に陥り、売春や不倫に手を出し、残業の不正申告を欠かさないという、刑事の風上にも置けない人物だった。そんな中、日本人の留学生が殺されるという事件が発生。目撃者ゼロという、この難事件を解決すれば出世コースに乗れると張り切るブルースだが、捜査を進めれば進めるほど自身の問題アリな過去も噴出するようになり、精神的に追い詰められていく。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2013 Lithium Picture Limited
(C)2013 Lithium Picture Limited

「フィルス」破壊の中に新たな価値が生まれる。キャリアを投げ打った俳優マカボイの挑戦

 1990年代、「トレインスポッティング」で時代を牽引する存在となった小説家アービン・ウェルシュ。彼のもう一つの代表作「フィルス」は、麻薬、酒、不倫、売春にまみれた刑事が、殺人捜査そっちのけで、同僚を蹴落とすことばかりに情熱を燃やすクライム・コメディの極北だ。

 そもそも“フィルス”とは、くずや汚物、それに警察という意味を持つスラングだが、98年の出版時には英国の書店に掲示されたブタ(これも警察を揶揄する意味を持つ)のポスターを警察が押収しようとしてちょっとしたニュースになった程である。

 そんなお騒がせなウェルシュ・ワールドの映像化にあたり、映画の神は主演にジェームズ・マカボイを遣わした。「トレスポ」が斬新な映像と音楽に満ちたスタイリッシュな産物だとすれば、本作はマカボイの息づかいが全てのリズムを司る、とことん泥臭いドラマと言えるだろう。

 肩を怒らせエジンバラを闊歩する彼の相貌には「つぐない」の精悍さは欠片も無い。今や顔をひん曲げて快楽をむさぼり、子供に中指を突き立て、二言目には卑猥な言葉を発する怪人と化しているのである。さすが英国映画界のエース。過去の偶像性を徹底して破壊することの意義を知っている。これぞキャリアを賭してでも取るべきリスクだ。

 かくも猛獣ショーのように観客を威嚇する本作。だが終盤は一転して人間の弱さをも突きつける。我々は主人公の剥き出しの魂に触れ、思わずこの哀れな男にかけてやる言葉はないものか探してしまうことだろう。人の抱える痛みに対して作り手の眼差しはどこか優しい。

 これは決して愚かさを嘲笑する映画などではない。むしろ、そうとしか生きられない男に捧げられた挽歌なのである。(牛津厚信)

映画.com(外部リンク)

2013年11月21日 更新

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