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瀬戸内海賊物語 (2013)

監督
大森研一
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4.37 / 評価:329件

「グーニーズ」の瀬戸内海版

2014年に公開された『瀬戸内海賊物語』は、瀬戸内海の島に住む子供たちが、かつて村上水軍が遺した財宝を探し回る冒険を描いたファミリー向け映画だ。時代設定はタブレット端末が登場する現代であり、今の時代にお宝探しのレトロな冒険映画をきちんと描いた事に価値があると思う。
舞台となる島は劇中では明示されないが、小豆島で多くのロケを行った。中でも小豆島と小島の間に砂浜の道が現れる「エンジェルロード」、海を見下ろすギリシャ風車が印象深い。穏やかな風景だけでなく鳴戸の渦潮のような激流も映される。僕がかつて山口県の周防大島に旅行した時、海峡に流れる川のような潮流を見て驚いたのを思い出した。

メインキャラは4人の子役だが、主人公の両親に内藤剛志と石田えり、祖母に中村珠緒、学校の先生に小泉孝太郎、本土から越してきた仲間の母親に馬渕英俚可、島の実力者に石倉三郎・阿藤快・六平直政、博物館の館長に西岡徳馬と、なかなか豪華なキャストが揃っている。
本作に描かれたようなお宝伝説は日本各地に残っているのだろうが(かつてTBSで徳川埋蔵金を探す番組があったね)、そういうロマンが存在する日本であり、それを題材にしてキチンと映画を作れる日本映画界であって欲しい、と思う。

本作で特筆すべきは、今月から始まるNHKの朝ドラ「わろてんか」のヒロインとなる葵わかながメインキャラとして出演している事だ。これから葵さんの人気が高まれば本作が改めて注目される可能性がある。小学生の役だが1998年生まれで撮影は2012年に行われたから、撮影当時は14歳だった事になる。ラストシーンでは中学生に成長し、主人公役の柴田杏花と共に清楚なセーラー服姿を見せる。
役名は宮本愛子といい、主人公の村上楓(柴田)と共に瀬戸内に一大勢力を築いた海賊の子孫である。島で一番の有力者である造船所社長(六平直政)の娘で、楓たちの冒険を醒めた目で見るライバルキャラとして登場する。クールな態度で社長の娘という立場が反発を買うのか、同級生から仲間外れにされる場面もある。
しかしこの子は操船技術にえらく長けており、水軍のレース大会で優勝するほどの実力の持ち主だ。自宅に練習用の小舟を所有し、周辺海域の潮の流れを把握しており、船の上では無敵のリーダーシップを発揮する。彼女が楓たちの財宝探しに協力を申し出て、ストーリーは大きく動き出す事になる。

主人公の楓もハイスペックな子で、無鉄砲な行動力、数メートルある崖の上から海に飛び込む度胸、ダーツで百発百中の実力はすべてクライマックスに生かされる。彼女が祖先・村上武吉の声や笛の音を聞くシーンは、オビワンに導かれるルークのようで、本作で唯一ファンタジックな要素である。
楓を取り巻く人々も各々の特技で彼女をフォローする。先に書いた愛子はもちろん、眼鏡っ子の学(井澤柾樹)は探検隊の先導役になり、本土から越してきた冬樹(大前喬一)は得意の武術で見せ場を作る(格闘シーンはかなりの迫力だ)。大人たちでは学校の先生(小泉孝太郎)は村上家に伝わる古地図の解読に力を貸し、祖母の絹子(中村珠緒。本作は出番が多く甲冑姿まで見せる)は楓の冒険心を精神的に支えていく。

表題に書いたように、本作は1985年のアメリカ映画「グーニーズ」にとても良く似ている。映画の製作者に「グーニーズ」のファンがいたのではないだろうか?例を挙げると海賊がモチーフになっている事、家に伝わるお宝の地図、現実社会での困難を解決するために財宝を探す事、主人公たちの行動を妨害する悪役の存在、地下洞窟における冒険、仕掛けられた「インディ・ジョーンズ」のような罠・・・などである。
オリジナルの要素としてはお宝の地図だけでは不完全で、別のアイテムと合わせる事で正しい目的地にたどり着くという設定である。先生が地図に割り印を発見し「この地図は別の何かと合わせて完成するのだ」と推理する場面はワクワクさせる。また「グーニーズ」がほぼ地下洞窟の内部で展開するのと違い、目的地の島に着くまで潮流の速い海を手漕ぎの船で渡っていくシーンが、ダイナミックな見せ場になっている。

細かいところで面白かったのは「からくりが仕掛けられた引き出し」である。冒頭の戦国時代の回想シーンでこのからくりが登場し、蔵にある箪笥の中で楓が笛を発見するシーン、笛そのものの仕掛け、そしてラストの落ちにもこのからくりが使われている。これはこの地方に伝わる文化なのであろうか?
僕は本作を面白く観たが、特撮の合成に不自然な所がある事、地下洞窟の罠がモロに「グーニーズ」か「インディ・ジョーンズ」である事、クライマックスの展開に「耳をすませば」の雫のように「こんなに上手く行くはずがない」と感じてしまう事から、私的評価は満点ではなく★4つとなった。ただし現代の日本を舞台にして、冒険映画を作った意欲は高く評価されるべきだ。

詳細評価

物語
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