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エレニの帰郷 (2008)

TRILOGIA II: I SKONI TOU HRONOU/THE DUST OF TIME

監督
テオ・アンゲロプロス
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3.53 / 評価:70件

解説

『永遠と一日』などのギリシャの巨匠、テオ・アンゲロプロスの遺作となった、1953年から半世紀に及ぶ男女3人の愛を描く恋愛ドラマ。スターリンの死やベトナム戦争といった出来事を背景に、時代に翻弄(ほんろう)されるヒロインと、彼女が愛をささげる恋人、ヒロインを愛するイスラエル難民の関係を、映画監督であるヒロインの息子の視点でつづる。出演は『ハンター』などのウィレム・デフォー、『ふたりのベロニカ』などのイレーヌ・ジャコブなど。ギリシャからシベリア、さらに世界中を駆け巡るヒロインの激動の運命に圧倒される。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

20世紀末、チネチッタ撮影所。映画監督のA(ウィレム・デフォー)は両親の人生を映画にしようとしていた。Aの母エレニ(イレーヌ・ジャコブ)は大学生の頃、秘密警察に逮捕され脱走。ギリシャ難民の町で恋人スピロス(ミシェル・ピッコリ)と再会する。しかし、スターリン死去による混乱で、再び逮捕された二人と、エレニの友人でイスラエル難民のヤコブ(ブルーノ・ガンツ)はシベリア送りになってしまう。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

「エレニの帰郷」切ないまでの親密さが漂う、叙情の作家アンゲロプロスの遺作

 一昨年、不慮の交通事故で逝ったテオ・アンゲロプロスの遺作である。未曽有の傑作「旅芸人の記録」以来、アンゲロプロスは、壮麗な神話の枠組みを使って、独裁、戦争、占領、内戦、亡命、ファシズム、コミュニズムといった20世紀固有の最重要テーマを揺るぎなき論理と比類なき映像美で描いてきた。

 「エレ二の旅」に続く現代史3部作の2作目にあたる本作では、スターリンの死、ウォーターゲート事件、ベトナム戦争、ベルリンの壁の崩壊と20世紀後半の歴史的事象に立ち当たったエレ二(イレーヌ・ジャコブ)とスピロス(ミシェル・ピッコリ)、ヤコブ(ブルーノ・ガンツ)の3人の男女のからみ合った愛の行方を主題に据える。映画はエレ二の息子である映画監督A(ウィレム・デフォー)が政治に翻弄された両親の受難の歴史をテーマに新作を撮っている〈入れ子構造〉を採ったために、しばしば、フィクションと現実、記憶と現在の境界が曖昧になり、ドラマの内的緊張を弱めてしまってもいる。

 だが、盟友であった大島渚と同等、アンゲロプロスは本質的には叙情の作家ではなかったろうか。哀調を帯びたアコーディオンの旋律に乗って、越境を重ね、年老いてベルリンで再会した3人がダンスに興じるシーンには切ないまでの親密さが漂っている。そしてラスト、壁の崩壊以降、ドイツ統一のシンボルとなったブランデンブルグ門を背に、雪が舞う中、スピロスと孫のエレニが満面の笑みを浮かべて走ってくる光景には、永遠の時を刻むかのような、気恥ずかしいまでのノスタルジアが満ちあふれている。(高崎俊夫)

映画.com(外部リンク)

2014年1月16日 更新

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