アイム・ソー・エキサイテッド！ (2013)

着陸装置の故障でスペイン上空を周回中のメキシコ行き航空便で、ビジネスクラスの人々＆フライトアテンダント＆機長達が、極限？状況で赤裸々な性本能を曝け出す“フライトパニック＆群像ドラマ”の怪作であります。

危機状況にある飛行機の中での群像ドラマで、アルモドバル監督らしい－変態性＆ドラマ性が融合した絶妙な語り口を魅せてくれます。
ビジネスクラスの客達の素性と、フライトアテンダント＆機長達の“関係”が徐々に明らかになってくる作劇は良く練られていて、特に機外の登場人物までドラマに絡む展開は見事であります。殆ど全ての登場人物達が “性的に倒錯＆奔放”なことが、重々しくあるべき機内パニックを陽性の乱痴気騒ぎにしてしまっていて、真面目な航空パニック＝｢エアポート｣シリーズのパロディとなっていますので、良識ある観客の本作への採点は辛めとなっていますが、劇中の登場人物と同レベルの壊れた視聴者（＝私）はとても愉しめたのでありました。
いつものアルモドバル映画の出演者達も生き々と変態的キャラクターを怪演している作品で、オープニングのカラフルな色彩からアルモドバル映画の祝祭に入っていくことが出来るトンデモ航空パニックお祭り作品であります。

ねたばれ？
航空機の名前は“Chavela Blanca”で、これはアルモドバルが好きな歌手：Chavela Vargasと友人の女優：Blanca Sánchezの名前を融合させたものだそうです。