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FLU 運命の36時間 (2013)

THE FLU

監督
キム・ソンス
  • みたいムービー 50
  • みたログ 335

3.68 / 評価:255件

劇的で感動的。殺気と狂気も感染する恐怖

  • 映画生活25年 さん
  • 2013年12月23日 4時10分
  • 閲覧数 1837
  • 役立ち度 8
    • 総合評価
    • ★★★★★

チケットカウンターで「エフエルユー」と言ってしまったが「フル」と読む。
言うまでもなくインフルエンザ、それも人から人へと感染する強毒性の鳥インフルエンザである。
パンデミックを描いた作品はいくつかあり、日本では「感染列島」、最近ではソダーバーグの「コンテイジョン」などがあるが、本作はいかにも韓国映画らしい、衝撃性の高いパニック作品である。

ウイルスは東南アジアからの密入国者を詰めたコンテナで変異、その唯一の生存者が逃亡したことで瞬く間に感染は拡大。
感染者の致死率はほぼ100%、36時間で死に至る。
政府は感染が広がっているソウル近郊の都市・盆唐を完全封鎖するのだが・・・。

主要登場人物は救急隊員ジグと彼が別件で救助したシングルマザーの女医イネとその幼い娘ミル。
彼らの出会いと恋愛模様的な序盤はいかにもありがちな映画らしい軽さだが、それと並行して感染が拡大していく様子も不気味に描かれる。

娘がコンテナの生存者と遭遇するところは偶然が過ぎるが、この生存者は抗体持っているわけで、物語の大きな鍵となる。

舞台となるのは小さな村などではなく、ソウル近郊の比較的大きな都市で人口は数十万人。
ここで感染が拡大するのだからパニックの度合いも大きく、またここを封鎖するとはかなりのこと。
非感染者は脱出を試み、軍と衝突することになる。
また、このあたりの政治背景や世論の声なども巧みに取り入れている。

「コンテイジョン」は世界規模の感染パニックを比較的冷静に描いていたが、本作はそれとは対照的。
全世界規模の感染拡大ではなく一都市の話なのだが、スケールの大きさを感じてしまうのは見せ方が秀逸なのだろう。

全市閉鎖、感染者はまともに生死を確認せずに処分、アメリカの介入など、冷静に考えれば有り得ないのだが、本作は冷静になることを許さず、非常に現実的に見えてしまう。

ウイルスだけでなく、当局の、そして人間の恐ろしさも感じさせられる。
複雑な感情になってしまうのがイネの行動。
娘の感染を隠して非感染者区域に留まらせる。
医師として、人としては非難されるべき行動だが、母親としては非難できるかどうか、非常に考えさせられる。
密入国を斡旋するチンピラ兄弟は非常に愚かに描かれていたが、彼女の愚かさは一概に非難できない。

その娘を演じた子役が見事。
美少女というわけでもなく普通の子供の可愛さだが、口が達者で表情も豊か。
なかなかおもしろい演技をする子だなと感心していたが、これがとんでもない。
終盤、見事なんてものじゃない、物凄い激演を見せる。
「ホワイトハウス・ダウン」の子役並みに心を揺さぶることをやってのける。
これには思わず泣いてしまった。

感染するのはウィルスだけではない。
こういう状況下では心理も感染する。
非感染者も、当局の人間も、誰もが殺気立ち、狂気に支配されようとする中、すべての人々の命と心を一気に取り戻してくれるのがこの子なのである。
この終盤の展開が劇的かつ感動的。

また、大統領と首相の様子も印象的だった。
リーダーとしての真価が問われる場面だが、2人の立場の揺れがしっかりと描かれていた。

序盤のコメディタッチは少々いただけないが、久しぶりに韓国映画の実力を見せつけられた作品だった。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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