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ブルージャスミン (2013)

BLUE JASMINE

監督
ウディ・アレン
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3.46 / 評価:1,497件

解説

ウディ・アレン監督がケイト・ブランシェットをヒロインに迎え、サンフランシスコを舞台に転落人生の中でもがき、精神を病んでいく姿を描くドラマ。ニューヨークでセレブ生活を送っていたものの夫も財産も失ったヒロインが妹を頼りにサンフランシスコに引っ越し、再生しようとする過程で、彼女の過去や心の闇を浮き彫りにしていく。実業家である夫をアレック・ボールドウィンが演じるほか、サリー・ホーキンスやピーター・サースガードが共演。シリアスな展開と共に、ケイトの繊細な演技に引き込まれる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

ジャスミン(ケイト・ブランシェット)は夫ハル(アレック・ボールドウィン)とニューヨークでぜいたくな生活を送っていたが、全てを失い、サンフランシスコに暮らす妹ジンジャー(サリー・ホーキンス)のアパートに身を寄せる。過去のセレブ生活にとらわれ、神経をすり減らしていたジャスミンだったが、ある日お金持ちの男性ドワイト(ピーター・サースガード)と出会い、自分の身の上についてうそをついてしまう。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

Photograph by Jessica Miglio (C)2013 Gravier Productions
Photograph by Jessica Miglio (C)2013 Gravier Productions

「ブルージャスミン」戯画化され、「サンセット大通り」ばりに鬼気迫るブランシェットのリアリティ

 近年、ヨーロッパ各地を舞台に、いささか能天気で瀟洒なライトコメディを連作していたウッディ・アレンが久々に本国に帰還して撮った、ヘビーでビターな秀作だ。ニューヨークでの優雅なセレブ生活から一転、すべてを失ったジャスミン(ケイト・ブランシェット)が、シングルマザーの妹ジンジャー(サリー・ホーキンス)が住むサンフランシスコの安アパートに身を寄せ、再出発を図る。

 生粋のニューヨーカー、ウッディ・アレンは名作「アニー・ホール」でNYを礼讃する一方で、アメリカ西海岸を徹底して揶揄していたが、本作では、NYは回想シーンのなかでジャスミンの虚飾に満ちた書き割りのような背景としてあるだけだ。そして過酷な現実のなかで、西海岸の市井の人々は誇張を交えながらも愛すべき俗物として活写されている。最大級に誇張され、戯画化されているのはジャスミンである。一文無しなのに、根拠のないプライドと過去の虚名のみを糧に生きる、この傍迷惑なヒロインは、見る者の共感を完璧に拒む。ウッディ・アレンは、ジャスミンが周囲との軋轢で精神を崩壊させてゆくさまを、あたかも昆虫を観察するような冷徹さで淡々と定点観測する。その辛辣さは、ジャスミンが野心的なエリート外交官と出会い、地の底から這いあがるように、再起を切望するエピソードで頂点に達する。

 ここにおいてケイト・ブランシェットは、「サンセット大通り」のクライマックスで鬼気迫る演技を見せたグロリア・スワンソンばりの大見得を切る。こんな一見、大時代な身振りと表情が、切なくもいじましい、異様なリアリティを帯びてしまう瞬間、ケイト・ブランシェットはオスカーを手中にしたといえよう。

 この映画には、ウッディ・アレンが愛してやまないチェーホフ的な、メランコリックな笑いが全篇に漂っている。それゆえだろうか、エピローグで流れてくるコナル・フォークスのピアノ・ソロによる「ブルー・ムーン」の美しい旋律が忘れがたい。(高崎俊夫)

映画.com(外部リンク)

2014年5月8日 更新

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