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そこのみにて光輝く (2013)

監督
呉美保
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4.01 / 評価:3371件

絶望の深遠が共鳴しあった先のかすかな光

  • Programer's-hi さん
  • 2014年4月24日 2時11分
  • 閲覧数 4783
  • 役立ち度 52
    • 総合評価
    • ★★★★★

達夫(綾野剛)は採石場の技師だった。後輩が死んだ事故がトラウマになって現実から逃げる生活を送っていた。酒に呑まれてフラッシュバックに悩まされる日々だ。まるで自分を罰しているかのようだった。

千夏(池脇千鶴)の絶望はどこから来るのだろうか?家族の為に自分の全てを捧げたことに後悔していることだろうか?そもそも家族を捨てたところで、どうかなる筈も無かった自分に絶望しているためだろうか?若しかしたら、家族の犠牲になるという言葉は、自分と向かい合う事から逃げている免罪符だったのかもしれない。

拓児(菅田将暉)の純粋さはどこからくるのだろう?

「私は心のままに生きて来た、そしてその為に人を傷つけて来た」

これは、さだまさしの歌「告解」の一節だ。

※余談だか、この歌は次のように続く。「私は嘘をつかずに生きて来た、けれどその度に私も傷ついて来た。」

純粋さゆえに、ギリギリのところで人を傷つけるしか選択肢の無かった人間。それが拓児なのだろうか?

拓児を介して達夫と千夏が出会う。崩れた体型を隠そうともしない千夏。具材の無い、それなのに、なんて美味しいチャーハンなのだろう。

千夏の環境が過酷であればある程惹かれてゆく達夫。彼の心にあるのは同情では無い。互いの絶望の深遠が共鳴しあったのだろう。

監督が女性だから、とは思いたくはないが、綾野剛は終始美しかった。自分の罪ともいえない事故でダメになる優しさ。拓児と共鳴する素直さ、人を見る目の純粋さ。千夏に惹かれた後は、最後まで一切ぶれることが無い強さ。その寡黙さに男の俺でも惚れるほどだ。

姉の為に、拓児の純粋さが暴走する。

殆ど、セリフの無いシーンの連続だ。

拓児が姉のあざを見て部屋を飛び出した直後、私は思わず「やめろ。お願いだから、やめてくれ」と心の中で絶叫した。

ラストのシーケンスもセリフが一切ないのだ。その映像に震え、光輝く海辺の二人のシーンに圧倒的に感動していた。

去年「舟を編む」を観た直後、この作品で来年の日本アカデミー賞は決まりだろうと思った。今年は、多分、この作品で決まりだろう。

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