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ローン・サバイバー (2013)

LONE SURVIVOR

監督
ピーター・バーグ
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  • みたログ 2,607

3.91 / 評価:1,685件

ローン・サバイバーの疑惑

  • bar***** さん
  • 2019年3月26日 1時33分
  • 閲覧数 1309
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

ローン・サバイバー。実際の話であるレッド・ウィング作戦をもとにして作った映画です。舞台はアフガン。タリバン旧勢力の指導者シャーを殺害するために米国精鋭部隊Sealsが山間の村付近に潜伏しますが、様々な事情によって作戦が失敗し、さらに居場所がばれ、100~150名程度のタリバンから包囲攻撃を食らって大損害を出したという、Seals最大の悲劇を映画化しました。

まず映画はSealsの過酷な訓練から始まり、作戦概要の説明、実行、潜伏の発覚、その後の展開と、順を追って見せていきます。

私が感心したのは、潜伏が発覚するまでのシークエンスの演出と表現です。人工的な感じがせず、とても自然にキャラクターたちが紹介され、自然に導入が理解されるようになっています。しかし発覚後は月並みな表現に終始します。銃撃戦はとにかくありきたりで他の映画と何も変わりません。いえ、むしろ他の戦争映画と比べると、カメラが動きすぎで状況の変化が伝わりにくく、むしろ悪いくらいです。ただ派手なだけですから、どちらかといえばアクション映画のようです。戦争というテーマでこういった銃撃シーンはよくありません。戦争映画では状況の変化がきちんと分かるようになっています。いい戦争映画は必ずそうです。視聴者の情報をコントロールするように心がけます。なぜなら戦争映画で大事なのは派手さではなく、そこで実際に行われたことだからです。それをこの監督は商業的なアクション映画風にしてしまっています。かなり違和感があります。

また、作戦の粗や現実感の無さについての批判コメントが目につきますが、私も同意見です。しかしこれにはもう一つ話があります。それは、生還したラトレル氏を救助したグーラブ氏のコメントです。グーラブ氏はラトレル氏の体験記『アフガン、たった一人の生還』を通訳に読んでもらって、事実と異なるところを数点あげているそうです。それは主に、Sealsの失態に関わる部分でした。例えば、

・Sealsの潜伏はすでにシャーにばれていた。

・山羊飼いと出会ったときにはすでに接近されており、解放後すぐに銃撃が開始され、それはすぐに終わった。

・救助時のラトレル氏は11個のマガジンを持っていたが全て未使用。

・Sealsを襲ったタリバンは80~200人いたとされているが、実際は10人に満たなかった。

・Sealsは50名敵を倒したと言われているが、のちに現地を捜索した米兵と村人は一人の民兵の死体も発見できなかった。

などです。つまり、この映画というか原作は脚色された可能性があるのです。もちろん真偽はわかりません。ただラトレル氏とグーラブ氏はこの見解の相違が原因で、映画のプロモーション番組での再会以後、会っていないそうです。グーラブ氏はアフガンにもどってタリバンの報復に遭うと、アメリカに移住しますが、その後も会っていないようです。

私はその「会っていない」という事実が、ラトレル氏に影を落とす証拠になっているのではないかと思います。また、皆さんが抱いた作戦への疑問、おかしな点が多いことも、それが真実ではなく脚色されたため、つまりSealsの失態を隠すため&ドラマチックな物語に仕立て上げるために行われた捏造が原因だとすると、つじつまが合うと思います。

私も80~200名程度のタリバンという点がまず不自然だと思います。まずそれだけの兵隊を連れて指導者がとある村に滞在する意味が不明です。どうとでも説明できるとは思いますが、何か引っかかります。そして山羊飼い解放後の行動、山羊飼いがタリバンに知らせに行くのは分かり切っていたことですから、それにもかかわらず見通しの効かない森の中に潜み続けるなど、軍のルールとして正しいとは思いません。また山羊飼いを解放するかどうかの議論も、様々な訓練を受けたSealsとしてふさわしいものだと思いません。ああいった場合、何よりも迅速さが大切なはずです。ぐだぐだ話し合ったってなにも良いことはありません。すぐ決めて、行動に移さねばなりません。これ以外にもおかしな点は他のレビュアーさんがまとめてくださってますね。

批判ばかりになってしまいましたが、悪くない映画だとは思っています。ドラマチックですしね。ただ非常にもったいないことに、ああいった作戦の粗や無意味なアクション映画風の派手な銃撃戦があったりする。どうしてもっと真摯に映画作りにこだわらなかったのか。テーマがテーマだけに、不適切だと思います。他のいい演出とかは結構あるのに、根幹の志向性を疑ってしまうようないくつかの事実がある。ダメ押しで捏造疑惑です(根本的な事実の様相の食い違いという致命的なレベルの)。これはとても★5にはできません。いくつかの表現は★5にふさわしいものだと思ったのですが。残念で嫌な感じが残る映画になってしまいました。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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