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家路
2014年3月1日公開

家路

1182014年3月1日公開

MOVIE道

4.0

震災・原発事故・進まぬ除染・遥かなる想い

95年の1・17阪神淡路大震災の経験者です。幸い、身内には死傷者や重大被災者は出ずに済みましたが、突然早朝の未体験の大きな揺れ、部屋中に散乱した家具や食器、大型冷蔵庫の扉があき、中の食料も散らばって、何が起きたのかよくわからないまま、ライフラインが絶たれ、生まれて3ヶ月の長男のミルクやおむつに困り、西神戸から実家のある尼崎まで夜中にもかかわらず、普段なら1時間のところを幹線道路が使えず、6時間かけて帰りました。 途中の神戸・芦屋・西宮の被災状況を横目で見ながら、倒壊した建物、燃えている町並み、火災の黒煙に煙り、星の見えない真っ黒な空、倒れた電柱から垂れ下がり火花を散らす電線、立ち込めるガスの匂い・・・ これが私の「家路」でした。帰るところのあった私は幸せでした。 19年の時は、見た目には神戸は完全に立ち直ったように見えますが、今なおその傷跡を背負って行かねばならない方々は、数多くおられます。 そして3年前の東北の大震災と津波、原発事故です。3・11。偶然にもこの日は妻の誕生日なので、毎年東北の被災者の方々には申し訳なく思いながら誕生祝いをしています。おかげで、妻の誕生日を忘れることはありません。(笑) 架空の、ある家族が消息不明の次男の突然の帰郷によって、少しずつ絆を取り戻してゆく。次男とともに避難地域内の自宅に戻り田植えを始める母は、地震のことも、原発事故もなかったかのように、ボケはじめている。被爆の恐怖も感じず、ただ季節の移り変わりと共にひっそりと穏やかに暮らしてゆく。松山ケンイチと田中裕子の演じる親子の心のつながりになぜか涙が止まりません。 ホテトル業の妻をわざわざ金をおろして買う義兄、避難地域内への侵入をいとも簡単に見逃してしまう警察など、有り得ない設定にはちょっと驚きますが、福島や東北各県の1日も早い復興を願ってやみません。

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