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ホワイトタイガー ナチス極秘戦車・宿命の砲火 (2012)

BELYY TIGR/WHITE TIGER

監督
カレン・シャフナザーロフ
  • みたいムービー 20
  • みたログ 97

3.06 / 評価:67件

松本零士が描く戦場浪漫みたいな作風。

  • 晴雨堂ミカエル さん
  • 2015年11月10日 11時17分
  • 閲覧数 1460
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

 タイトルだけを見ればロシア産のB級戦争映画と思うだろうが、実は2012年公開映画対象のアカデミー賞に外国語映画部門に出品されたほどの作品で、つくりはしっかりしている。
 軍服などの考証の誤りは見当たらなかったし、ドイツ兵はドイツ語を話すなどリアルさにこだわっているようだった。(余談1)敵役として登場する謎のドイツ軍戦車タイガー(余談2)は一部ミリヲタの間で不評だったらしいが、私はメカ音痴なので雰囲気はよく捉えていると思っている。

 話の内容は子供や学生の頃から慣れ親しんだ松本零士氏や小林源文氏が描く戦場浪漫漫画を実写映画化したような雰囲気だ。なので、私はハリウッドが描くノー天気な戦争映画よりもよほど本作のほうが取っ付きが良い。

 主人公は30歳前後の戦車操縦手、日本の俳優に例えていうと津田寛治風の俳優が演じている。
 味方の軍が激戦地跡を救援探索、大破した戦車の操縦席から全身黒焦げの焼死体のような風体で見つかる。息をしていることが辛うじて確認されたので野戦病院へ、軍医たちの予想をことごとく裏切り火傷はほぼ治癒、しかし記憶喪失の状態。

 記憶を無くしてはいるが、読み書きはでき戦車の操縦術は群を抜き、なにより生還してからは神がかり的な能力を持ったために軍曹として前線復帰、さらにドイツ軍の謎の戦車探索の指揮を執る少佐の目に留まり、少尉の階級と特注の戦車と有能な部下を与えられる。
 この主人公の「理解者」として登場する少佐は若い頃の三國連太郎に似ている。

 前線では1両の謎のドイツ軍戦車が神出鬼没の攻撃で戦車大隊が看過できない被害を受けていた。その謎のドイツ軍戦車に対抗する役目を主人公が負わされる。
 実際は戦車一台が歩兵を従えずに行軍するのはあまり無いのだが、これはある種のヒロイックファンタジー、緊迫感ある戦車同士の一騎討ちが見どころである。
 キャタピラにまとわりつく泥や雑草、エンジン音が反響し暑苦しそうな車内、敵の砲撃で大破炎上、外へ逃げ出そうとして息絶え黒焦げの状態で固まる戦死者、その中を主人公は巧みに車体を隠しながら切り抜け敵戦車に砲撃する様、戦車好きにはたまらない映画だ。戦闘機や軍艦を主役にした戦争映画は多々あるが、戦車はそれに比して少ないので希少価値があろう。

 結局、謎のドイツ軍戦車は謎のまま、捕虜からもめぼしい情報が得られなくなり、次第に謎の戦車架空説が濃厚になっていく。やがて戦況はソ連軍圧倒的優勢となり、上層部も謎の戦車はガセネタと結論付けるようになった。
 ついにドイツ軍のカイテル元帥は降伏し戦争は終わった。だが、主人公は謎の戦車の存在を疑わず、「戦争は終わった」という少佐の言葉を無視して戦車に乗り込み走り去る。
 謎の戦車は白に塗装されたタイガー戦車なので、メルヴィル作「白鯨」のパロディかもしれない。

 さてラストはとても意外な場面が唐突に表れる。私はこのシーン、嫌いではない。

(余談1)本作は海外出品用なので変な吹替は無く全編日本語字幕だった。
 ロシア映画はよく変な吹き替えをする。せっかく俳優にドイツ語を話させているのに、少し時間をずらせてロシア語吹替をするし、そんなロシア語吹替の日本語字幕が日本に入ってくる。この感性は国民性なのか?
 ロシア映画に限ったことではないが、字幕をありがたがるのは識字率が高い日本ぐらいのようだし、さらに吹替技術も日本は相当なものだと思う。日本語で話しているかのように錯覚するほどだからだ。

(余談2)第二次大戦時、世界最強と評価されたドイツ軍のVI号戦車、「ティーガー」や「ティーゲル」と呼ばれていた。「タイガー」はその英語読みで、ミリオタの中にはドイツ語読みの「ティーガー」にこだわる人が多い。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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