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イーダ (2013)

IDA - FORMERLY SISTER OF MERCY

監督
パヴェウ・パヴリコフスキ
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4.12 / 評価:77件

解説

1960年代のポーランドを舞台に若い修道女が出生の秘密をたどる旅を描き、トロント国際映画祭など各映画祭で好評を博したヒューマンドラマ。自分がユダヤ人であることを告げられたヒロインが、両親の死の真相を知るべく過去をひもといてゆくさまをつづる。監督は『マイ・サマー・オブ・ラブ』『イリュージョン』などでメガホンを取り、本作で初めて母国で作品を手掛けたパヴェウ・パヴリコフスキ。モノクロで表現される美しい映像もさることながら、ヒロインの過去を通して触れられるユダヤ人やホロコーストの歴史にも胸を打たれる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

1962年のポーランド。戦争孤児として修道院で育ったアンナ(アガタ・チュシェブホフスカ)は、院長におばの存在を知らされる。おばのヴァンダ(アガタ・クレシャ)はアンナがユダヤ人であり、本名はイーダであると告白。イーダは両親の墓を訪れたいと言うが、墓はおろか遺体がどこにあったのかさえもわからない。そこでヴァンダは、イーダの両親が生活していた家を訪れてみようと提案し……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)Phoenix Film Investments and Opus Film
(C)Phoenix Film Investments and Opus Film

「イーダ」美しい構図の陰で過去が発掘され、苦痛が変容していく

 四角い黒白画面の下部に人物の姿が沈められている。頭上には大きな空白が生まれる。まるで教会の内部にいるように見えるが、そうとは限らない。他の空間でも、この構図はしばしば出現する。それも固定ショットで。

 すると、人物が小さく見える。小さいだけでなく、ぽつねんとした感じが漂う。身体と心の関節がどこかで大きく外れている。

 イーダ(アガタ・チュシェブホフスカ)は最初、アンナと呼ばれている。18歳の戦争孤児で、ほどなく修道女になる予定だが、音信不通だった叔母ヴァンダ(アガタ・クレシャ)に会うと「イーダ」と呼びかけられる。イーダとはユダヤ人の名前だ。1962年、社会主義時代のポーランド。50年代初頭、叔母は人に恐れられる検察官だったが、いまは酒と煙草と束の間の情事に逃げ込んでいる。

 そんなふたりが4日間の旅に出る。イーダの両親が命を奪われた経緯を探りにいくのだ。無垢で信仰心の厚い少女と、シニカルで無神論者の中年女。過去は発掘されるのか。ふたりの女が抱える不穏や苦痛は変容するのか。

 監督のパベウ・パブリコフスキは、ドライヤーやブレッソンを思わせるタッチで、80分間のロードムービーを織り上げる。構図の美しさで観客の眼を惹きつつ、登場人物への感情移入を禁じつづけるのだ。抑制されたこの距離感が、ふたりが行動する小宇宙の後背地を際立たせる。そんなキャメラが映画の終盤、急に移動しはじめる瞬間は見逃さないでいただきたい。たとえかりそめの解放であれ、外気を胸に吸い込んだイーダは、新たな受難を恐れぬ覚悟を定めたのではなかったか。(芝山幹郎)

映画.com(外部リンク)

2014年7月24日 更新

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