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8月の家族たち (2013)

AUGUST: OSAGE COUNTY

監督
ジョン・ウェルズ
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3.27 / 評価:532件

家族の薄皮を一枚剥けば

  • karas_doh さん
  • 2014年12月4日 6時49分
  • 閲覧数 1141
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

日本でもここ何年か「家族」の意味を問う作品が多いような気がするが、世間体を取り繕ってはいるものの、一枚薄皮を剥いたらどこの家族も大なり小なり問題を抱えているのは日米共通なのだろう。

本作では父親の失踪をきっかけにバラバラだった家族がオクラホマの実家に集まり、それまで隠れていた薬中、アル中、介護、不倫、別居、離婚、ニート、非行相続とありとあらゆる問題が噴出する。

日本だと田舎でも娘が全て大学まで出る家で本作ほど大揉めする家族はやり過ぎ感があると思うのだが、アメリカ中西部の田舎ではあんな感じでも違和感ないのだろうか。

over40の娘が3人いて孫が一人しかいない。アメリカも移民一世を除いた伝統的アメリカ人家族の少子化は日本と同様なのだろうと思う。

「貧しい親の世代は子供の為に全てを犠牲にして云々」という感覚は戦争に勝ったアメリカでもそうなのだなというのは意外だった。アメリカが一番豊かだったのはベビーブーマー以前だと思っていたからだ。

人権意識の進歩によって子はネイテイヴアメリカンをインディアンと呼ぶ親を蔑む。肉を食べると屠殺時のストレスによって生成されるケミカルを食べることになるという孫のラディカルな少数説を馬鹿にする大人たちも時代が変われば同じように蔑まれるようになるのだろうか。時代の違いを無視して前世代に追体験することなく後世代が一方的に正義を振りかざす事の不条理さを描いていると思う。

地元に残った真ん中の妹が親の面倒を一切見ない上下の姉妹に向かって「家族なんて血縁によってランダムに選ばれた細胞に過ぎない。」というシーンが印象的だ。その妹本人がその偶然に過ぎない血縁によって苦しむことになるのは皮肉としか言いようがない。

姉妹間の葛藤は「レイチェルの結婚」と相通ずるものがある。人間いい歳になると誰かが結婚するか死ぬかしないと家族や親戚が一堂に会する機会はあまりない。

問題は何一つ解決せぬまま家族は癌に侵され薬に依存する母親を一人残し皆実家を去り、家族ではないネイティヴアメリカンの家政婦だけが母親の元に残る。この辺は介護問題を考える上で身につまされる思いがする。

家族の抱える問題の大半は男に責任があり、またその一端はそのような男を許したりかどわかしたりする男にだらしない女であって、ジュリア・ロバーツのように才能もガッツもあって仕事と家庭を両立させようと青筋立てて頑張ってるけど男に媚びることだけは苦手というパッサパサのアメリカ人女性には罪は無いとでも言うようなフェミ臭が少し鼻に付いた。

死に往く団塊世代と落ちてゆく団塊ジュニアの崩壊する家族関係。全く他人事ではないのが鑑賞後のこの嫌な感じの正体だろう。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

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