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曹操暗殺 三国志外伝 (2012)

銅雀台/THE ASSASSINS

監督
チャオ・リンシャン
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2.93 / 評価:42件

何か新しいことやってください

  • lamlam_pachanga さん
  • 2014年2月12日 0時49分
  • 閲覧数 2078
  • 役立ち度 8
    • 総合評価
    • ★★★★★

本作は12年製作の中国映画で、80~90年代には“亜洲影帝(アジア映画の帝王)”とまで称された周潤發(チョウ・ユンファ)が主演する歴史ドラマです。

例によってセンスもクソもない邦題のおかげで、本作の題材が“三国演義”であることはお分かりでしょう。本作の原題『銅雀台』は、“乱世の奸雄”と呼ばれた曹操が現在の河北省に建てたとされる宮殿のことを指し、ここを舞台に曹操暗殺をめぐる人間ドラマが展開されます。ちなみに、正史では曹操が建てたのは、“銅雀”、“金虎”、“冰井”の三つの銅像であり、“鄴三台”と記されているそうです。

監督の趙林山(ヂャオ・リンシャン)はこれがデビュー作で、09年に北京電影学院を卒業後、長春電影製作所に所属し、主に企業広告で腕を磨いた新鋭です。こんな歴史大作の、しかも商業映画のメガホンを何の実績もない青年監督に任せるとは、一昔前には考えられないことでした。最も、その頃は大陸映画がここまで極端な拝金主義に犯されようとは思いもしなかったのですが...まあ、それは言っても仕方ないですね。

さて、やっぱり新人に巨額の予算を一任するのは怖かったのか、そのスタッフには、アジア屈指の面子が集められています。撮影は張芸謀(チャン・イーモウ)御用達の趙小丁(ヂャオ・シャオディン)、美術は張芸謀の『金陵十三釵』で大陸でも名を挙げた種田陽平、音楽は王家衛(ウォン・カーワイ)の『2046』が有名な梅林茂、衣裳には香港の巨匠・奚仲文(イー・チュンマン)など、実に錚々たる顔ぶれです。これだけの面子に囲まれての初仕事って...よほど度胸なきゃ出来ませんよね(笑)

では、長いウンチクをたれたところで、あらすじを紹介しときます。

建安14年、魏。霊雎(劉亦菲)と穆順(玉木宏)は謎の騎馬隊に囚われ、光の差さない洞窟で暗殺者となるべく過酷な訓練を施される。狙うのは、衰退した漢の献帝(蘇有朋)を傀儡とし、強大な権力を手中に君臨する魏王・曹操(周潤發)。10年後、穆順は去勢した宦官として献帝の下へ、霊雎はその美貌を武器に曹操の下へ送り込まれ、やがて来るその時を待つことに。一方、漢の忠臣・伏完(倪大紅)は国のために独自に曹操の暗殺を計画。その娘・伏皇后(伊能静)も曹操の息子・曹丕(邱心志)を利用して暗殺を企む...。

この映画のトーンは、大作映画を名乗るには似つかわしくないほどに暗く、沈んでいます。これは、登場人物のほとんどが“曹操暗殺”を企む陰謀劇であり、一方の曹操も長年の戦いの果て、回りが敵だらけとなった状況に疲れきっているからです。また、ヒロインであり、最も曹操の近くにいる暗殺者の霊雎も、権力者の苦悩に触れ、彼を除くことが本当に正しいのか苦悩し続けます。加えて、彼女は愛する穆順と結ばれて平和に暮らしたいという願いと、それを実現するには望まない暗殺を実行しなければならないという、相反する想いの中で葛藤し続けることになります。

ただ、プロデューサーたちの意向でしょうが、苦しみのドラマの周りで、銅雀台の上空に縄を張って跳躍しながら襲ってくる暗殺者や、陳腐なVFXの乱発など、それだけで興醒めするシーンが多過ぎ。葛藤のドラマなんだから、そんなありきたりの武侠映画じみた演出はよせばいいのに...と、これは個人的な愚痴です。

なので、私が楽しんだのは、何というのか、円熟を感じさせる周潤發の曹操。本作の曹操は、終始誰にも理解されない苦しみを抱え、例えば『レッドクリフ』などのイメージとは違います。しかし、三国演義に親しんだファンも納得するだろう“乱世の奸雄”としての姿は崩しておらず、少なくとも、私は周潤發の曹操を否定する気はありません。

一方で、劉亦菲(リウ・イーフェイ)と玉木宏が演じる暗殺者と、蘇有朋(スー・ヨウポン)演じる昏君(バカ殿)設定の献帝には、もうウンザリ。二人のキャラは10年も洞穴に囚われて過酷な運命を背負わされてるんだから、普通、もう少し人格崩壊してません?献帝も、中国では昏君イメージが定着してるのは知ってますが、あまりに誇張し過ぎでしょう?

それとね、ファンの方には申し訳ないですが、やっぱり玉木宏が浮いています。御大・周潤發をはじめ、アジア各地の実力者に囲まれ、まるで子供です。大陸映画で互角以上に渡り合う先輩たち(中井貴一や安藤政信)を見習って欲しいと思います。彼らは、演技だけじゃなく、(完璧ではないけど)言葉もちゃんと勉強していますよ。

『曹操暗殺 三国志外伝』。

言いたいことは色々ありますし、この手の大陸映画に見飽きたってこともありますが、映画そのものが面白くありません。これだったら、私は『レッドクリフ』の方が好きですね。

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