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曹操暗殺 三国志外伝
2014年3月22日公開

曹操暗殺 三国志外伝

銅雀台/THE ASSASSINS

PG121082014年3月22日公開

edo yabo

3.0

活劇はなく、暗く苦悩を描く

三国志は日本でも人気ですが、日本では吉川英治の小説「三国志」によるところが大きく、戦闘描写や人物表現が、日本人になじみやすくなっているそうです。 中国では、当然のことながら、「三国志演義」が一般的で、この映画も、そこに書かれている216年の曹操暗殺計画を題材にしています。 中国では、2009年に曹操の陵墓が発見され、ちょっとしたブームになったそうですが、遺骨のそばに殉死者と考えられる20代の女性の遺骨があったことが判明し、これがこの映画のヒロインのモチーフになっているようです 曹操の晩年の話なので、いわゆる三国、魏・呉・蜀の壮大なる物語からすると地味な物語と感じました。三国志に詳しい人にはいいのかもしれませんが、俄かファンにはエンターテインメント性に欠けるかもしれません。 物語は、赤壁の戦いの8年後。 魏を治める曹操(チョウ・ユンファ)は、劉備などを破り、事実上の王として君臨していました。 曹操は献帝に魏王の位を与えるように強制し、宮殿・銅雀台を造営して権力を誇示しました。 献帝は、曹操に実権を握られ憤っており、曹操暗殺の密勅を発し、暗殺を企てようとしていました。そして、ひそかに曹操暗殺計画を実行に移します。 穆順(玉木宏)と霊雎(リウ・イーフェイ)は、関中での対馬超・韓遂戦後に騎馬隊に連れさらわれ、陵墓を利用した牢獄で刺客として特訓を受けた二人は密命を受け、それぞれ宦官と侍女として曹操に接近します。 くどいようですが、三国志というと、どうしても活劇を期待してしまいます。 しかし、この映画は陰謀・苦悩・疲弊といったものを表すためか、全体的に暗く、あまりメリハリも感じられません。役者がその人物を見せるといったことなのでしょう。 暗殺を企てる漢の忠臣、実行するべき暗殺者、戦いに疲れた曹操、皆沈んでいます。 曹操の身近にいる霊雎は、権力者ゆえの苦悩を肌で感じ、暗殺に疑問を持ってしまいます。 一方、霊雎には、愛する穆順と平和に暮らしたいという願いがあり、その条件は、曹操暗殺なので、更に苦悩することとなってしまいます。 一応、いろいろな刺客が曹操を襲うシーンなどでは、アクションぽくしていましたが、全体のトーンを乱しているように感じました。 レッドクリフを降板したチョウ・ユンファが曹操を演じています。やっぱり三国志はやりたかったのですね。奸雄と呼ばれたオーラをだしつつも、トップの孤独と苦悩を見事に表現していました。 ただ、英語タイトルのとおり、アサシンである二人は、主役に近い位置づけなのですが、やけに情緒的なのが気になりました。幼少期にとらわれ、殺人マシーンとして洗脳・訓練したならば、目の前のターゲットを即、殺すのではないかと想います。 たとえば、イスラムの少年たちは、何の迷いもなく銃を手にし、打つことができるようになっています。(少なくとも僕にはそう見える。) その穆順を演じた玉木宏が中途半端で、かわいそうなくらいでした。アジアに名を売りたかったのかもしれませんが、僕にはそうは見えませんでしたし、ファンはもっとそう思ったのではないでしょうか。 呂布や貂蝉といった名前も登場し、三国志らしい話もところどころに出てきます。霊雎と貂蝉の関係がベタなのですが、僕の好きな設定だったので、ちょっと嬉しかった。 そして、曹丕により漢が終わり、司馬炎により、魏も終わる。 歴史は皮肉です。

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