ここから本文です

チョコレートドーナツ (2012)

ANY DAY NOW

監督
トラヴィス・ファイン
  • みたいムービー 978
  • みたログ 3,889

4.24 / 評価:2805件

みんなちがって、みんないい。

  • ken***** さん
  • 2021年1月27日 14時01分
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

邦題が秀逸。
「健康的な食事を与えるだけでは、人は健全には育たない。」という象徴と、「愛情とは何か」を見事に表している。

人生が幸福なのか不幸なのかは、死を迎えるまでは判らない。
同じように、社会的に何が「正しい」のかなんて、多くの人が不幸に曝されるまでは誰にも解らないのだ。

2012年の作品で、時代設定は1979年だが、脚本のアイデアとなった実話から40年以上も経っているのに、いまだに優生思想やらナチスドイツが生んだ悲劇を知らない人が少なからずいることに驚く。
(ご存じの方も多いと思うが、このレビューの標題は100年近くも前の詩の一片である。)

一方で近年、「特殊能力」が日常だったり、「亜人」が隣人として描かれる日本の作品が世界中で人気を博し、「個性」の意味が拡大解釈されているのは好ましいことに思う。
世の中に「普通の人」は存在しない、という真実に人類は早く気づくべきであり、「自分(達)が正しい」という思い込みこそが全ての元凶であるのだと、人間が内包するパラドックスを個々人が正しく理解し、認め、そしてそれを互いに認め合うべきである。

ルディ役のアラン・カミング本人はバイセクシュアルを公言しており、マルコ役のアイザック・レイヴァも実際にダウン症との事。イケメン俳優ギャレット・ディラハントら絶妙な配役や、70年代の服飾・髪型・調度品、黄色や赤の暖色で意図的に8mmフィルムのように色あせた感じに仕上げた演出の割に、裁判中のあからさまな偽証や、「よくもまぁ、あの劣悪な環境で14才まで・・・」といったツッコミどころを差し引いたとしても、全米で「観客賞を総ナメにした」という評価が頷ける良作。
青髯腕毛のルディの優しい眼差しは、不思議と母親のそれにしか見えない。

空前のLGBTブームのさなかでの高評価であり、取り扱っている題目こそ「同性愛」や「障碍者」に対する「差別や偏見」、「法令の不備」や「正義の押し付け」といったデリケートな問題に切り込んだ作品ではあるが、これは万人に共通する、人類愛を諭す物語である。
多くの人が見て、身体的・精神的な差別や偏見のみならず、他人の価値観を理解し共有できるようになるきっかけになれば、世の中、もう少し平和になるような気がする。


SDGsとビッグデータで人類規模の共通認識がアップデートされ、視野が狭いせいで他人の幸福を奪ったり、それにより人を不快にさせたり、不幸に感じる人々が少なくなればいいですね。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
  • 知的
  • 絶望的
  • 切ない
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ