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ペレ 伝説の誕生
2016年7月8日公開

ペレ 伝説の誕生

PELE: BIRTH OF A LEGEND

1072016年7月8日公開

UrbanDockGoer

5.0

ペレ一家のヒューマンドラマに胸熱くなる

サッカーの盛んな小学校の野球少年だった性か、常にサッカーには敵対心を持って育った俺(笑)なので、サッカーは普段観ない。普段どころかワールドカップさえ観ない。 そんな俺なのだが、この作品は予告編が面白そうだったし、公開後のレビュー評もいいので、楽しみにしていた。 そして、大いに感動してしまった。 何度も涙を流してしまいました! 《物語》 貧しい家庭(貧しい国と言った方がいいのかもしれないが)で育ったペレだが、父親が元プロサッカー選手だったこともあり、遊びで覚えたサッカー、いや球蹴り遊びの足技は人並み外れていた。 プロ選手だった父親は怪我で若くして引退し、貧しく暮らしていることもあり、母親はサッカーの道を目指すことは許さなかった。 一方、父親は母親の考えに従い、サッカーはさせずに自分のトイレ掃除の仕事を手伝わせていたが、仕事の合間の遊びとして密かに足技をペレに教えていた。そんなペレが15歳のとき、サントスフットボールクラブ入団への道を開いたのはその父子の姿を目にした母親だった。 念願のFC入団を果たしたペレだったが、次に彼を悩ましたのはチームが求めるサッカースタイルだった。ペレが子供の頃から体で覚えたのはブラジルの伝統的スタイル、個人技かつ曲芸的に球をさばくジンガというスタイルだった。しかし、当時ブラジルはヨーロッパに負けたことから、ジンガスタイルを封印し、ヨーロッパ式フォーメーション重視のサッカーに変革しようとしていた。 ジンガスタイルは父親から教わり、体に染み込んだものでもあり、ジンガの天才だったペレは悩む。 挫折しそうになるが、結局ジンガが身を助け(周囲を黙らせ)、サントスFC内での昇格、ワールドカップのブラジル代表チームへと進む。しかし、ナショナルチームでもまた、同じ壁が立ちはだかった。 《感想》 どこまで事実かは、この際置いといて、映画としてとても良く出来ていると思う。 冒頭に書いたとおり、サッカーに全く興味を持たない俺なので、ベーブ・ルースの伝記は読んでいても、ペレの話は知らないことばかり。それが一層、面白く観れた要因だと思う。 本作で何により心動かされたのは、両親の愛情だ。母親がサッカーを辞めさせようとしたのも愛情だし、道を開いたのも愛情。その息子へ熱い思いに胸が震えた。また、父親は自分の果たせなかった夢を息子に果たして欲しいと最初から強く願っていたはずだが、自分がその道で成功できなかったこともあったのだろう、母親の言うことに反論せず、星一徹の如くスパルタでペレに教え込むこともせず、ただ温かく見守りながら、そっと教える姿にも胸が熱くなった。 そして、本格的にサッカーを始めてからはペレの心の支えになる、この展開はもう涙無しでは観れないでしょ! ストーリーのもう一つの軸はブラジルチーム、ブラジル人の誇りだ。一旦は勝つためにブラジル伝統のジンガを捨てようとするが、物まねでは勝てないと悟る。 というか自分達のアイデンティティーを無くして勝って何の意味があると悟る。ペレだけでなくブラジルチームの選手にはジンガがブラジルの誇りとして魂に宿っていたことにも胸打たれた。 また、ヒューマンドラマだけでなく、序盤の子供達の球遊びや終盤ブラジルチームメンバーのホテルでの球遊び等、遊び心も随所に織り込まれており、泣かすだけでなくエンタメ要素も忘れていない。ペレ本人のカメオ出演もあるのでどこで出るかもお楽しみに。 唯一本作の難点を挙げると(鑑賞後に知って、ちょっと興奮が醒めてしまった)、ペレ本人が制作総指揮になっていること。 自分が制作責任者になって「LEGEND」とか言っちゃう? と。 当然本人に色々聞きながら制作したのだろうとは思っていたが、自分を称賛する伝記映画を総指揮???   まあ、実際のところは知りません。制作総指揮と言っても名ばかりで、取材を受けて、これでいいと承認をしただけかも知れない。 が、奥ゆかしさを美徳とする日本人的価値観からすると凄い違和感が。 逆に実際は自分で作ったとしても表に名前は出さずに隠しておけば良いと思うのだが、向こうの人は「制作総指揮」と謳って本人が深く関わっているとした方が宣伝効果があるのか?  単にお国柄の違いなのかも知れない。 そう思うことにしよう。 そう思わないと折角の名作が白けてしまう。 それはともかく、映画としては、両親の心とブラジル人の魂、この2つの描写が素晴らしく、鑑賞の価値十分。 おススメです。

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