ここから本文です

渇き。 (2014)

THE WORLD OF KANAKO

監督
中島哲也
  • みたいムービー 456
  • みたログ 3,385

2.64 / 評価:2,901件

挑戦的だけど、間違った方へ進みましたね

  • bar***** さん
  • 2019年2月8日 15時16分
  • 閲覧数 3273
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

渇き。グロ、犯罪、暴言、汚わい、そういったものが中心のハードボイルド・ミステリーですね。

ストーリーは正直解説を読まないと理解できないと思います。背景が複雑すぎる&「娘を追う」という軸と「娘が裏でしていること」の軸の二重軸構造になっていて、一本筋が通っていないからですね。

ただまあ、パワーのある映画だったんじゃないかなと思います。ストーリーを把握したければ何回も見ればいいし。何回も見たい映画かといわれると疑問ですけどね。

役所広司さんを筆頭に、非常に激しく演技する俳優さんが揃っていますが、上手かと聞かれると、何を上手だというかで評価は変わると思いますが、私は上手ではないと思います。動きが多いけど、荒いんです。丁寧に演技するというとシーンと矛盾するかもしれませんが、どこか作品的な「キャラクター」を演じようとしているところがある。だから多少荒っぽくっても派手でイメージデザイン通りならいいや、と構えているところがあるように見えますね。しかし本当に上手な人は、丁寧に「人間」を演じようとします。そもそもの原作小説が人工的なキャラクター(ハードボイルドという)小説だとすれば、そんな上手な役者が入り込む余地なんかないんですけどね。

私が批判したい点は2つ。
ストーリーの分かりにくさ。
そして、俳優の演技を含めた荒い暴力描写・暴言セリフ・過剰なアウトローカルチャーの描写です。

そういうストーリーが悪いというわけではないんですよ。ただ直球すぎるのがいけないんです。見ている人は何を見に来ているかを考えなければなりません。

それは「非常によく作られた作品」というものを見に来ているのであって、作者だけが知っている裏社会の現実でもないですし、非常に巧妙に作った(と作者が自負している)複雑極まりない構造の物語でもないですし、ショッキングな「人間の汚さの暴露」や血しぶきやどす黒い傷の描写、暴言セリフでもないのです。

それを「現実」と捉えるか捉えないかは、主に視聴者にゆだねられていますが、作者のほうでもそれを「現実」と主張するならば、もっと説得力を持たせなければ、独善的、ナルシズム、気持ち悪いと言われても仕方ありません。

私はこれが現実だとは思いません。「何が現実か」という視点そのものが低俗で一面的だからですし、虚構であることをおそらく自身でもわきまえた上で、ショッキング性を意識して、耳目を集めるために「現実」というワードを振りかざしているように見えるからです。事実は事実かもしれません。作中の事件や団体などは、実際に存在しているかもしれません。しかしそれを脚色している、それを観客に向けて刺激剤として振りまくということは、現実ではありません。作為です。

この映画には「詩」がないのです。であるならば、どれだけ「現実」というワードで注目を集めたところで、おぞましいものに映るに決まっています。視聴者がいったい何を求めているのか、もっと幅広い視点で考えてみなくてはならないと思います。こんなものは(原作小説および映画は)文学でもなければ美術的作品でもありません。ただの娯楽小説であり、娯楽映画です。そして娯楽物としては及第点に届かない低クオリティなのです。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 未登録
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ