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渇き。
2014年6月27日公開

渇き。

THE WORLD OF KANAKO

R15+1182014年6月27日公開

サンゴ

2.0

悪魔の美少女が演出する醒めない悪夢の物語

まず最初に言っておきます。 ★2にしたのは面白くなかったとか、駄作だと思ったからではありません。もう一度見たいとは思わなかったってだけです。 単にもう一度見たいと思った映画に★3以上をつけることにしてるので。 だってこんな胸糞悪い映画、ぶっちゃけ人生で二回も見たくないもん。 ずーっと誰かの醒めない悪夢を見せられてるような気分。 でも、すごい映画でした。 他の方のレビューを読んで、片っ端から「役に立った」ボタンを押しました。 酷評してる人の気持ちも、絶賛してる人の気持ちもとてもよくわかる。 どっちでもない人の気持ちもわかる。 なんというか、ほんとにすごい映画でした。 園子温監督作品みたいだなあと思いました。 とにかくエログロバイオレンス血しぶき怒鳴り声罵倒悪態騙す裏切るふみにじる殴る蹴る刺す首しめるレイプするレイプさせるいじめる陥れる殺す死ぬ殺させる・・・といった場面が延々続きます。 「告白」が面白かったので、続けて中島監督作品を見たのだけど、まあ、一言でいえば、ろくでもない映画でした。 小松菜奈さん演じる、加奈子という天使の笑顔をもつ悪魔の美少女が、周囲の人間を片っ端から壊していく、いわばダークファンタジーなのかな。 この女、同情の余地など微塵もない、正真正銘の悪魔です。 役所広司演じる加奈子の父、主人公の藤島が、中盤で加奈子に煽られて首をしめて殺してしまいそうになるシーンがあるのだけど、そこで殺しておいてくれればみんな助かったのに。と思うぐらい。 藤島自身かなり頭おかしいし、妻へのDVは酷いし、加奈子がねじ曲がったのは不幸な家庭に育ったからともいえるけど、あそこまでの悪魔っぷりを見たら、酷い親とはいえ、親のせいにするのは親が不憫なぐらいの加奈子の悪魔っぷり。 生まれ育ちとか、原因と結果というより、この子はもとから悪魔だったんだと思いますよ。 本当に楽しそうに人をいじめるし。 昔好きだった男の子が自殺させられたのがきっかけで、その復讐のために悪事を始めたとかいってたけど、こんなもん、元々こいつの素養ですよ。 深く考えるような話じゃない。 生まれつきの悪魔っているんですよ。それが加奈子。 で、映画としては・・・面白くないわけじゃない、けど、見るのがしんどい映画です。 とにかく音楽もうるさいし、セリフも怒鳴ってばっかりでうるさいし、たびたびインサートされる加奈子のパリピぶりを現すクラブ映像はチカチカしてうるさいし、場違いな爽やかアニメが時々入るのもうるさいし。 ものすごく頻繁にある暴力場面ではワーキャーずっと言ってて、まーうるさい。 文句しか言ってないな。 面白いなと思ったところも確かにあって。 藤島はほんと、ほぼダイ・ハード。ほぼずっと殴られ蹴られで中盤以降ずっと血みどろだけど、最後の最後まで元気。 徐々に、自分の娘が悪魔だったんだと理解していくその過程が滑稽でもあり悲劇でもあり。 妻夫木さんの演じる、超感じが悪くて気持ちの悪いイカれた刑事っぷりも、他じゃなかなか見られない。というか、こんな妻夫木初めて見た。妻夫木聡の新境地、といっていいぐらいの怪演ぶり。 小松菜奈さんは、このどうしようもない悪魔の女を、天才的に可愛らしく演じきってました。 最悪のビッチなのに、可愛いんですよ。すごいよこの子。 最初の30分ぐらいはもう見るのをやめようかと思ってたけど、加奈子が本物の悪魔だとわかったぐらいからはだんだん面白くなってきて、なんて胸糞悪い映画なんだろうと思いつつ、最後まで一気に見ました。 悪い映画じゃないんだけどなあ。もっとわかりやすく面白くもできたはずなんだけどなあ。 スタイリッシュなのか死ぬほどダサいのかもよくわからない、たぶんそのどっちも当てはまる映像と編集で、実に変わった映画です。意欲作といってもいい。 好きな人は好きだと思う・・・嫌いな人は虫酸が走るぐらい嫌いだと思う。その他の人は、最初から最後まで「なんじゃこりゃ」って感じの映画だと思う。 映画好きを自覚している人には、ぜひ見てみてほしい映画の一つです。 この推薦コメントは、「アメリカン・サイコ」「鍵」の時も書きました。 たまにあるんですよね、映画好きにこそ見てほしいなあっていう映画が。 好きか嫌いかは分かれるだろうけど、どっちにしても、映画好きなら語れるポイントが山程あるっていうか。 人の感想が聞きたくなる映画でした。

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