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渇き。 (2014)

THE WORLD OF KANAKO

監督
中島哲也
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2.65 / 評価:2,738件

解説

第3回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した深町秋生の小説「果てしなき渇き」を、『告白』などの中島哲也が実写化したサスペンスミステリー。謎の失踪(しっそう)を遂げた娘の行方を追う元刑事の父親が、いつしか思いも寄らなかった事態に引きずり込まれていく姿を活写する。名優・役所広司を筆頭に、『悪人』などの妻夫木聡、『ゆれる』などのオダギリジョーら、実力派が大挙して出演。中島監督ならではの鮮烈なタッチに加え、ヒロインに抜てきされた新人・小松菜奈の存在感にも注目。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

品行方正だった娘・加奈子(小松菜奈)が部屋に何もかもを残したまま姿を消したと元妻から聞かされ、その行方を追い掛けることにした元刑事で父親の藤島昭和(役所広司)。自身の性格や言動で家族をバラバラにした彼は、そうした過去には目もくれずに自分が思い描く家族像を取り戻そうと躍起になって娘の足取りを調べていく。交友関係や行動を丹念にたどるに従って浮き上がる、加奈子の知られざる素顔に驚きを覚える藤島。やがて、ある手掛かりをつかむが、それと同時に思わぬ事件に直面することになる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2014「渇き。」製作委員会
(C)2014「渇き。」製作委員会

「渇き。」小松菜奈の魅力が牽引し、日本映画の職人技が満たす「ただものじゃない何か」

 中島哲也は女優を輝かせる監督だ。「下妻物語」が深田恭子、「嫌われ松子の一生」が中谷美紀、「告白」が松たか子の映画だとしたら、本作は小松菜奈の映画だろう。彼女の魔術的な可愛さが「映画の推進力」となって、観ているぼくらは2時間のエログロ話につき合うはめになるのだ。彼女が魅力的でなかったとしたら、説得力は皆無だったろう。そういう意味では、小松の起用で映画は80%成功している。

 原作は「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した深町秋生のベストセラー・ミステリー小説「果てしなき渇き」。元刑事で今は警備員をしている主人公・藤島昭和(役所広司)が、別れた妻から行方不明になった娘、加奈子(小松菜奈)の捜索を依頼されるという話だ。この男、ギラギラした野獣のようで、タバコをスパスパ喫い、よくギトギトと汗をかく。その新陳代謝に比例するかのごとく次から次へと事件に巻き込まれ、その暴力性を加速させて映画は凶暴になっていく。おびただしい血しぶきが飛び出るのだが、完全に野獣になった主人公は無敵なのだ、もう漫画のように。おそらく来年の演技賞を総なめにしそうな役所の怪演にニンマリしてしまう。目を背けたくなる残虐シーンにはきまって唐突に劇画調アニメが挿入され、暴力性を若干弱めている。

 残り20%はストーリー性のカタルシスが担うべきところなのだが、お世辞にも本作は「後味が良い」とはいえない。肝心の娘探しのストーリーが尻切れトンボのようになっていて、見せるべき帰結が弱く、どうも釈然としないのだ。

 だが、日本映画の現在を見渡したら、撮影(阿藤正一)や編集(小池義幸)は最高水準の技術といえる。この仕事がもたらすリズムはすごくて、「ただものじゃない何か」を観た充足感で満たしてくれる。それだけに、この難しい企画にゴーサインを出した映画会社には、素直に拍手を送りたいのだ。(佐藤睦雄)

映画.com(外部リンク)

2014年6月26日 更新

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