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グランド・ブダペスト・ホテル (2013)

THE GRAND BUDAPEST HOTEL

監督
ウェス・アンダーソン
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3.73 / 評価:2427件

解説

『ダージリン急行』などのウェス・アンダーソン監督が、格式高い高級ホテルを取り仕切るコンシェルジュと、彼を慕うベルボーイが繰り広げる冒険を描いた群像ミステリー。常連客をめぐる殺人事件と遺産争いに巻き込まれた二人が、ホテルの威信のためにヨーロッパ中を駆け巡り事件解明に奔走する。主演のレイフ・ファインズをはじめ、エドワード・ノートン、エイドリアン・ブロディ、ジュード・ロウなど豪華キャストがそろう。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

1932年、品格が漂うグランド・ブダペスト・ホテルを仕切る名コンシェルジュのグスタヴ・H(レイフ・ファインズ)は、究極のおもてなしを信条に大勢の顧客たちをもてなしていた。しかし、常連客のマダムD(ティルダ・スウィントン)が殺されたことでばく大な遺産争いに巻き込まれてしまう。グスタヴは信頼するベルボーイのゼロ(トニー・レヴォロリ)と一緒にホテルの威信を維持すべく、ヨーロッパ中を駆け巡り……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2013 Twentieth Century Fox
(C)2013 Twentieth Century Fox

「グランド・ブダペスト・ホテル」ヨーロッパ趣味を全開にしたウェス独特の世界がもたらす幸福感

 まるで名人パティシエのお菓子を口の中に放り込んだときのような、ふわーっと広がり、ずーっと味わっていたくなるような幸福感。こうして思い出すだけで、口角がにゅっと上を向いてしまう。いや、ウェス・アンダーソン監督の作品はいつだってそうだった。だが今回は、新機軸でワクワク感、うひょうひょ感、うっとり感が倍増し! この面白さと新鮮さは、ヨーロッパのストーリーテリングと美意識をもって、ウェス・アンダーソンが彼独特の世界を構築しているところから来る。つまり監督がヨーロッパ趣味を全開にしているのだ。

 オーストリアの作家ツワイクにインスピレーションを受けたという監督は、ノスタルジックな回想形式で物語の幕を開ける。舞台は東ヨーロッパにある架空の国。現代の作家が情緒ある古いホテルのオーナーから昔語りを聞く60年代と、その物語が展開する30年代という入れ子構造で、時代ごとにスクリーンサイズが変わるという懲りようだ。

 30年代、ホテルの上客だった老マダムが急死し、彼女にとって(そしてほかの多くの老女性客にとって!)最愛の男だった伝説的コンシェルジュに殺人容疑がかかる。彼を慕う新人ベルボーイをも巻き込んで、繰り広げられる奇妙な冒険。スラップスティックなコメディでありながらミステリーであり、世間からちょっとズレた人間同士の親子のような愛情も味わい深い。ここにルビッチやスタージェス、オフュルスといった監督たちへのオマージュを見つけることもできるだろう。ウェス組の豪華スター俳優たちが嬉々としてチョイ役を演じ、現れては消えていくのも贅沢なお楽しみ。もちろんウェス印の構図や撮影も健在だし、虚構世界の醸し出す幻想性が強まって、心をくすぐる。何より、ミニチュア感満載のピンク色をしたホテルとお菓子ボックス、夢のような色彩のインテリアなど、プロダクション・デザインのかわいいこと、素敵なこと!

 ツワイクやルビッチに負けないくらい、この映画に大きな貢献をしたのがロケ地となったドイツ東端の町、ゲルリッツだ。訪れたことがあるが実際にピンクのホテルがあったり古いパステル調の家々が並んでいたりして、監督がインスピレーションを受けたことは想像に難くない。ヨーロッパ旅行の折に、訪ねてみてはいかがだろうか。(若林ゆり)

映画.com(外部リンク)

2014年6月5日 更新

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