レビュー一覧に戻る
天才スピヴェット
2014年11月15日公開

天才スピヴェット

THE YOUNG AND PRODIGIOUS T.S. SPIVET/L'EXTRAVAGANT VOYAGE DU JEUNE ET PRODIGIEUX T.S. SPIVET

1052014年11月15日公開

ポンコツ

5.0

ネタバレ「松と雀」な家族の傑作物語

物語の梗概は敢えて後述。原作未読。 今作もジュネ監督こだわりの演出は健在。 主人公T・Sの脳内選択。空想の具現化。お姉ちゃんの脳内自分会議。ポップアップ絵本風の章題。スライド風のキャスト紹介に原作イラスト?のアニメ調なスタッフ紹介は見ていて楽しい。 家出少年として追われるT・Sがマネキンに扮して危機を切り抜ける場面は笑った。 『オー!マイキー!』を思い出した。 ブランコ少女との場面も面白い。 主人公の家族もジュネ風味で風変わり。 カウボーイとして生きることに拘る父。 研究で周囲が見えなくなる、トースターに嫌われた(笑)昆虫学者の母。 アイドルを夢見る姉。 天才少年の主人公T・S。 犬のタピオカ。 そして。 で、物語はというと。 T・Sが自身の発明で栄えある賞を受賞し、授賞式でスピーチをする為に一大決心をしてモンタナからスミソニアンまで一人旅をするロードムービー…と思いきや。 授賞式の壇上でT・Sが行ったスピーチ。 参加させられたTVのトークショー。 誰にも言えなかった、家族だからこそ言えなかった、常に感じていた、双子の弟の死に対する罪の意識。 それを機に、松の葉の如く隙間の出来た家族へ感じ続けてきた負い目。 黙って家を空け、雀の骨格標本等の宝物を駄目にしてまで旅を続け、果たして家族は自分の妄想した様に心配してくれるだろうか。 水脈探しに連れ出そうとした父は。 甲虫探しに連れ出そうとした母は。 自分をイカれていると見なす姉は。 だが。 少年の抱いていた不安は解消される。 それも、痛快に。 常緑樹の様にいつか必ず作り笑いが枯れる小狡い大人、特に金鉱と見なした女史やTVの司会者より、隙間がある様に見えても実は暖かく雀を包む松の様な家族こそが自分の居場所だと知る。 道中でドミニク・ピノンの演ずる浮浪者が語って聞かせた寓話さながらに。 カウボーイハットの使い方が見事。 終盤、もうすぐ産まれてくるトースターの生まれ変わり(笑)は、きっと上手にパンを焼くのが特技になるに違いない。 演者については語るに及ばず。 という訳で。 双子の弟と死別した主人公の少年と家族が、それを受け入れ、絆を結び直す物語。 文句なく星5つ。 未見の方には是非ともオススメ。 今作に限っては監督独特の毒も非常に薄めなので、家族で観るのにもオススメ。

閲覧数141