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進撃の巨人 ATTACK ON TITAN (2015)

ATTACK ON TITAN

監督
樋口真嗣
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  • みたログ 9,756

2.21 / 評価:10853件

進ゲスの巨人

  • Disappointed movie さん
  • 2021年2月21日 12時36分
  • 閲覧数 955
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

公開時、家族と一緒に映画館へ足を運んだ。

館内には家族連れのほか、中高校生と思われるグループも多く見られた。
残酷描写もある作品なので、レイティングはPG12。
原作やアニメは既にブームになっていたので、そういった描写があることは観客は織り込み済みだろう。

そして、エンドロールも終わって会場に照明が灯されると、中学生と思われる女の子が残念そうにつぶやいていた。「門前地区って‥‥」。

まぁ、ひどい映画だった。

予算の関係上、配役を全て日本人で揃える事になったとしても、原作の長い物語を映画の枠に収めるために改編するとしても、それはそれで仕方が無いことだろう。

ただし、登場人物の設定までも変えてしまったら、それはもはや別の映画。

年齢的にまだ大人ではなく、不安定だが真っ直ぐな気持ちを持って戦いに身を投じるエレン、ミカサ、アルミン、そしてリヴァイ等々。
若さ故に、コミュニケーションも上手でなければ、対立する時もある。しかしながら、一方では心の中でお互いを思いやっている。
そんなキャラクター達が丁寧に描かれているのが「進撃の巨人」の魅力だったのではないのか?

そして、原作やアニメでも「愛情」が描写される場面があるが、それは決して「露骨で性的なもの」ではなく、「家族愛」に近い形で表現されている。
これも少年少女から「進撃の巨人」が支持されている理由の一つではないのか?

しかし、この映画では「進撃の巨人」の魅力をことごとくそぎ落としている。
端的に言えば「露骨で下品」なのだ。

例えば、ミカサは本来、母性に近い気持ちでエレンを見守る立ち位置で描かれており、それが物語が進むカギにもなっている。だが、この映画ではそもそもエレンに対して興味を持っておらず、出世欲の強い人物として登場する。
更に、エレンを尻目に、この映画のオリジナルキャラで上司の「シキシマ」と唐突にキスを交わす。
加えて、シキシマもエレンに見せつけるように、ミカサとともに一つのリンゴを下品に食べ合う。その光景を見て動揺するエレン。

一方エレンにおいては、岩場で「ヒアナの胸を揉む」という場面が設けられている。
「ヒアナ」もシキシマと同様、映画のオリジナルキャラであり、子どもの養育費を稼ぐために兵団に参加したという設定。
ヒアナを演じるのは、デビュー当初はグラビアモデルもしていた水崎綾女。

深夜。巨人に見つからないよう、岩場に身を隠している兵士達。
おもむろに、我慢できずに抱き合ってキスを始める男女の兵士。
その様子を見ていた水崎綾女も、初対面同然の三浦春馬に自分の胸を揉ませながら、唐突に「子どもの父親になって」という。
直後、服が乱れたままの水崎綾女が巨人に襲われ、捕食される。
その光景を見て動揺するエレン。

こんな具合。

尺も無いクセに、話しを進める上でも無意味かつゲスいオリジナルエピソードを入れ込んでくる制作者。

進撃の巨人を正攻法で実写化するには予算が足りない。
きっとどう実写化しても叩かれるのは目に見えている。
ならば、いっそのこと大胆に改変してやろう。
大人のゲスさを盛り込んで、子ども達に現実の厳しさを教えてやろう。
等々と、制作陣が「捨て身の判断」をした結果なのでは、と邪推する。

この映画でリヴァイを出さずに「シキシマ」に置き換えたのは、「さすがに長谷川博己にリヴァイを名乗らせるのもリスキーだし、リヴァイとミカサに男女関係を持たせるのも面倒なことになりそうなので、リヴァイでは無く『シキシマ』というオリジナルにしよう」と考えた程度のことだろうと思う。
当時、スタッフが「『リヴァイ』という発音は日本には馴染まないので代わりに『シキシマ』を登場させた」と説明しているが、それは詭弁だろうと推測している。

結局は「進撃の巨人を真っ正面から実写化すること」を諦め、代案としてあえてゲスいオリジナルエピソードを当てはめ、「進撃ファンへのアンチテーゼ」として仕上げた悪質な映画なのだと、私は理解している。

また、原作やアニメでは地区名が「シガンシナ区」や「トロスト区」等となっており、西洋を想起させる設定がなされている。
このように「実在しないが、欧州あたりにありそうな地名」も、作品の人気を支えている要素だと感じている。
しかし、この映画の舞台はこれまたオリジナルの「門前」。

門前地区って、日本各地にあるし、私の地元にもありますよ。
「欧州のようなミステリアスな地域を舞台としたダークファンタジー」が、一気に「地元で起きたゲスい大人達の鬼退治みたいな話し」に成り下がった感が半端ではない。
なお、各地にある「門前地区」を揶揄する意図では無いという事は記しておきます。

映画館で女の子がつぶやいた「門前地区って‥‥」の一言に、ゲスい演出に辟易し、かと言って口に出すこともはばかれる、そんな残念な気持ちが表れていたように私は感じた。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 絶望的
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