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ザ・ホスト 美しき侵略者 (2013)

THE HOST

監督
アンドリュー・ニコル
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  • みたログ 264

2.86 / 評価:190件

原作よりも矮小化しているらしいが

  • kug***** さん
  • 2016年5月18日 5時46分
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

 「トワイライト」シリーズと原作者が一緒ということで、人間ではない存在との恋愛が前面に出ている「異星人が主人公のSF」としては楽しめたんですが、意外なことに原作では恋愛の要素こそがオマケで、主人公の異星人「ワンダ」が様々な人間模様に直面し、人間という存在を多面的に理解して行くという内容だそうで、そう考えるともったいない映画化のように感じますが、原作からして長編三冊分という長大さ。いくらライトノベルのようなヤングアダルト小説だといっても普通に映画化するのは無理。そうなると徹底的に中身を減らすしかない。そこで一番全体を貫いているであろう恋愛を中心に添えたことは上手いと思う一方で、トワイライトと同様の作者ということで製作側から恋愛を強調する指示があったのだろうなと思わずにはいられません。実際、トワイライトのファンにとって原作は恋愛要素が薄い(しかも、相手は普通の地球人男性)というのが問題だったとか。監督脚本は「最も現実的なSF映画」と賞賛された「ガタカ」の「アンドリュー・ニコル」だけに内心ではこういうアレンジはあまり乗り気ではなかったかもしれません。とはいえ小奇麗にまとまっている「低予算映画(ここが重要)」だと思います。
 戦争も、飢餓も、環境破壊もなくなった未来の地球は完璧だと思われたが、その支配者はすでに人間ではなかった。「ソウル」と呼ばれる長命で宇宙を旅する高等な知的生命体に寄生され、ほとんどの地球人類は自我を失ってしまっていたのだ。彼らソウルは高度に知的で平和的な種族で『他の生命体と共生しているだけ」としか考えていないが、地球人類には当然ながらその思考を受け入れられず、彼らから隠れて暮らし、捕らえられそうになると自殺することで自我と仲間を守っていた。少女「メラニー」は逃げ切れないと悟り、自殺を試みるが死ぬには至らず、「ワンダラー(放浪者)」と呼ばれるソウルを寄生させられる。しかし、メラニーの自我が強かったためか、ワンダラーに身体を支配されたものの彼女はワンダラーの精神へと訴えかけ、様々な要求を行う。いつしか、二人は奇妙な共同関係を築くが「シーカー(捜索者)」と呼ばれる隠れ住む人間を探し出す役割を持つソウルからメラニーの記憶から彼女らの隠れるコミュニティの場所を特定させるように言いつけられる。千年以上とソウルの中でも一際長い時間を他の生命体の身体に次々と共生して来たために多少変わり者であるワンダラーだったが、そうやって生きることが当然だったはずなのに、口うるさい同居人に初めて様々な疑問を持ってしまい迷う。「弟に会いたい」というメラニーの強い頼みを断れず、彼女はこっそりと街を車で飛び出すが、メラニーが時折つく嘘が許せず喧嘩になってしまい、砂漠で車は横転して大破。彷徨い、行き倒れになった彼女たちはメラニーの叔父「ジェブ」に救われ、彼らの隠れ家につれてこられる。変わり者だが聡明でSF好きのジェブはコミュニティーのリーダーであり、姪が単に宇宙人に身体を奪われただけではないと見抜き彼女たちにワンダの愛称を与える。だが、メラニーの身体を乗っ取ったワンダに多くの人間が憎悪を抱き、ことあるごとに彼女を殺そうとするため、彼女たちは二つの魂を持った存在であることを隠そうと決める。少しづつ相互理解が進む中、ワンダは地球人のイアンと心を通わせる。しかし、メラニーにはジャレドという恋人がいて、一つの身体しかないことに互いに悩み苦しみながらも、やがて友情が芽生える。一方で、シーカーの捜索の手はしつこく何度も隠れ家周辺に現れ、物資の補給もままならず、メラニーの弟「ジェイミー」も重い破傷風に苦しむ。人間を殺してまで捜索を続けるシーカーの狂気に、彼女はついに任を解かれるが、彼女は一層ワンダに執着し、追い続けるが…。
 割と御都合主義なところは多いものの、ソウルたちの価値観が人類とは全く違うことがSFとして面白い。彼らにとっては共生であり、互いに利益があるすばらしい行為であると好意を押し付けしてるわけですが、相手は海生哺乳類ですら知的生物と見なそうとするようなのがいるくらい下等な地球人なわけで、このあたりの価値観のギャップはSFとしてなかなか楽しいですし、性差の問題や、ある意味「身体が生きていればいい」という医療行為と尊厳死の対立問題の投影に思えてくるのは考えすぎなのか、あるいは監督の腕なのか。
 低予算ではなく、せめて大作の二部構成にすればすばらしく哲学的な作品になったかも知れませんが…いくら名監督でもこの予算と規模では見劣りしてしまう作品しかできないでしょう。その限界点には十分達している気がしますし、先入観なしに期待せず見れば、なかなかの作品と思うのですが…。続編ありきで作ってない感じですし、そもそも続編は別に見たくないですね。不評だったので続編はまずないですが。リブートだったら見たいかも

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