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夜のストレンジャー (1944)

STRANGERS IN THE NIGHT

監督
アンソニー・マン
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4.00 / 評価:2件

これぞ珍味。老嬢の怪演にほっこり

  • eig******** さん
  • 2021年5月10日 1時36分
  • 閲覧数 73
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

シネマヴェーラの解説には「アンソニー・マンの手腕が冴える傑作」とあったが、さてどうだろう(笑)。むしろ「珍作」のたぐいではないかと。

帰還兵が文通相手の女性ローズマリー(逢ったことはないがフィアンセらしい)を訪ねて、片田舎の海沿いの断崖に建つ屋敷を訪ねる。そこには老いた母親と使用人が暮らしていて、彼を歓待する。しかし肝心のローズマリーは、肖像画があるだけで屋敷内に姿が見えない。出かけていてもうすぐ帰ってくると母親はいうのだが……。
疑念をふくらませた帰還兵は、列車事故で居合わせたあと村で再会した美貌の女医とともに、屋敷で起きている謎めいた事象に巻き込まれてゆく。

とにかく、娘の母親役を演じるヘレン・ティミグの怪演ぶりが光る。
腺病質な使用人にして親友エディス・バレットとの老嬢ふたりの絡みも、数多のクリスティ作品や『何がジェーンに起ったか?』あたりを想起させてとても良い。女医役のヴァージニア・グレイもヒロインらしい魅力にあふれている。一方、主人公の帰還兵役ウィリアム・ペリーにはあまりにオーラが足りない。

原作は『鑢』や『Xに対する逮捕状』で知られるフィリップ・マクドナルド(オリジナル・ストーリー)とのことだが、サスペンス/ミステリーとしては、「実は娘は存在しないのではないか」という謎の答えが「実は娘は存在しない」というだけなので、しょうじき芸がない、というか、そもそも「謎」として成立していない(笑)。
せめて謎解きに面白さがあればいいのだが、単に肖像画の描き手が友人だったので聞いてきたってだけの話だし、そもそもあまりに無理がありすぎて、使用人がいうとおり「とても守り抜けるような嘘ではない」。
どちらかといえば、「御屋敷もの」「サイコもの」というよりは、「まぬけな犯人もの」の類型にのっとった内容にすら思えるくらい、足が不自由なのに頑張りまくる老婆の執念には涙ぐましく、ほほえましいものがある。
ラストも横溝映画の犯人みたいに毒ワインでもあおるかと思ったら、あの終わり方だもんなあ。さすがにちょっと失笑してしまった。

お話が始まる前段で唐突に列車が脱線・転覆したり(よほど大事件だ!)、娘に関する嘘よりよほどひどい人殺しで軽妙なBGMが鳴っていたり、終盤ふたりまとめて倒せるとはとても思えないブービートラップが出てきたりと、なんとなく事の軽重のバランスを欠いた作りも居心地の悪さにつながっているかもしれない。

とはいえ、当時のニューロティック・サスペンスの要素がまとめてぶちこんであるのは、やはり観ていて楽しい。
「断崖」の家が出てきて「ミルク」が登場するのは、明らかに1941年のヒッチコック作品を意識してのことだろうし、「姿の見えない女主人」ってのは『レベッカ』から来ているのだろう。
「高低」を取り入れた移動や落下のサスペンスというのも、いかにもアンソニー・マンらしい。

不器用ではあるが、愛すべき作品だと思う。

詳細評価

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