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福福荘の福ちゃん
2014年11月8日公開

福福荘の福ちゃん

1112014年11月8日公開

zumeo

4.0

良い作品は難解ではない

私は「中身のある作品」だと思う。そして充分に楽しめた。 まず、主人公の福ちゃん(男性)を女性である大島さんが演じきっているが これをコントとは思わない。 なぜなら「ブサイクな男を女性が演じる」というイレギュラーな設定に、 大島さんは見事な演技でマジメに応えている。 いくら芸人とはいえ、私生活では夫も子供もいる一人の女性が、 一本の映画のために男役(しかももてない塗装工)を演じるのは、やはり葛藤も抵抗もあっただろう。 もし彼女が「女芸人としていつものコントをやればいい」と思っていたら、もっとお笑い演技をすると思うが、 彼女は至極マジメに「もてない福ちゃん」を好演していた。 哀愁も、男っぽさも、高嶺の花の女性に対する不器用な恋慕も、マジメに表現していた。 ストーリーが単純というレビューも多いが、そもそも良い作品は多くが分かりやすく単純に見えるもの。 だが、本当に底の浅い作品はその浅さを難解な演出や脚本で飾り立てるものだ。 確かに「福福荘〜」は分かりやすいが、「他人を許すとは?」という手強いテーマを 様々な角度で観客に問いかけている。 難しい事を難しくいうのは簡単だ(このレビューのようにw)。 だけど難しい事を簡単な言葉で語ることは容易なことではない。 この作品は、その「難しい事を易しく伝える」ことに、果敢に挑戦している。 そのために監督は女性の大島さんに男を演じさせて、それはある程度成功していた。 そして、少し観念的になりそうになる場面を、この「男性の大島」が うまく打ち消して、理屈と感情の表現バランスをとっている。 こういう事ができる監督に才能を感じた。今後に期待したい。 減点は、水川あさみの福ちゃん写真集があっけなく世に出た事と、 ラストが容易に予想できたこと。この2つで★1個減点。 もちろん私の感想だから、コントに感じたり、 中身がないというレビューも否定しない。 ただ、これだけ観やすくて主人公が隣にいそうな「おっさん」を描いて、 ちゃんと1本の考えさせられる作品もなかなかないと私は感じた。 大島親方の芸に対するマジメな考え方を知ることができるだけでも 一見の価値あり。ただし「男優大島」をこちらもマジメに見る覚悟が必要。

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