cyborg_she_loves
5.0点
男性である福ちゃんの役に大島美幸さんを起用した理由はただひとつ、彼女が実際に小中学生時代に受けた壮絶な「いじめ」の体験が、この映画の表現に深みを与えることをねらった以外にはありえません。 福ちゃんは中学時代にひどいいじめを受け、深い心の傷を負い、人に自分の本心を見せるのをおびえるようになっってしまった。 でも根が優しくて楽天的な福ちゃんは、いじめた相手を怨み続けることもせず、周りの人たちの心の傷に優しく寄り添いながら、いつも笑顔で前向きに生きている。 そういう福ちゃんの泣き顔や笑顔を本気で演じられるのはこの人しかいない、という見極めがこの配役を決めたのだと思います。 それは物語の背骨の部分の話で、それに大小さまざまな笑いをからめてコメディ仕立てにしてありますが。 特に前半は「下(しも)」にからむネタが頻繁に登場して、やや下品な印象は受けますけれど。 気に入らないとすぐナイフをふりまわす野々下くんも、笑いのネタにするには少々危なすぎますが。 そういうところに目くじら立てて嫌悪せず、大らかに笑い飛ばしながら見ていれば、この映画、なかなか笑えます。 福ちゃんは腹をナイフで刺されたけど皮下脂肪が分厚すぎたおかげで最初は気づきもしなかった、なんていうところも、ちょっと笑っていいのか迷うような危なさですが、まあそういうのは気にしないということで。 なんだかんだツッコミどころもあるけど、見終わったあとには、とても暖かい、「いい映画を見た」という印象が残る映画でした。
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