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デスマッチ
2014年6月21日公開

デスマッチ

922014年6月21日公開

tai********

4.0

ネタバレ侍の魂が息づく映画

妻に暴力をはたらく夫を正当防衛とはいえ殺してしまった男が、6年の刑期を務めて出所する。償いのために未亡人に会いに行くと、亡き夫の残した借金で苦しい生活を余儀なくされていた。男は未亡人を助けるために、ストリートファイトの会場に赴くことになる。 高額な掛け金が動くストリートファイトの裏で、敵対する組織は男に八百長試合を仕向けるために未亡人の母子を誘拐する。 B級映画の典型的なパターンであり、この映画もその轍を外すことはない。 しかし、主役の武田幸三が放つ真の格闘家としての息遣いが、独特の世界観を生み出している。格闘シーンでは、格闘技の頂点に立った男の拳や蹴りが、CGやワイヤーアクションでは表せないリアルな迫力を生み出していた。 この映画が素晴らしいのは、それだけではない。武田幸三が演じる主人公のジョーが寡黙で精神的にも肉体的にも強い男だけでなく、女や子供に対して優しい心を持っていることだ。 象徴的なのが、殺した夫の墓参りに行くシーンだ。墓場の中に入ろうとしない未亡人が、亡くなった夫の遺族に止められているという。それを聞いたジョーは、花束を墓場の入り口に置いて帰る。未亡人への細やかな心遣いをさりげなく表現した演出も見事です。 そして、ジョーの未亡人への恋心が見え隠れしながらも、決して表情に出さないし口にもしない。内向的とかではなく、日本男子の奥ゆかしさの表れだろう。だからこそ、すべてを終えた時に、ジョーは黙って去って行く。 近年の日本映画では出てこない侍の魂を描き切った映画です。 未亡人やその詐欺師の弟、美人のボスにその取り巻きと、廻りを固めているのも、初見の俳優ばかりだが存在感があり、この作品を良質なものにしている。 とにかく武田幸三の武骨な顔がこの映画にぴったりと当て嵌まり、いろいろなジャンルに適応できるとは思えないが、次回作を期待しています。 点数も4点としましたが、4,5点があれば迷わず付けています。 限られた映画館でしか上映していないけど、できるだけ多くの方に観てもらいたい映画です。

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