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滝を見にいく (2014)

監督
沖田修一
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  • みたログ 402

3.48 / 評価:304件

お嬢さん、お入んなさい

  • yab***** さん
  • 2017年2月9日 23時14分
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

 最近読んだ『男という名の絶望』という本の中に、「男は勝負に勝たなければならない、という伝統的な男らしさの規範に囚われ、常に他者との比較において自己の立ち位置を推し測っていた」と書かれている。
 しからば、この作品の、紅葉狩りで男の頼りないガイドに見捨てられて、しばしの共同生活を強いられた中年、初老の女性たちの立ち位置ってどこにあるのだろう。
 勝ち負けで物事を考えているだろうか?
 他者と自分を比較して、自分の境遇を嘆いて絶望感にひたっているだろうか?

 この作品を見る限り、女性は困ったときに助け合うのである。子育てを経験していたりするとなおさらである。
 人と比較して自分を卑下することはなくて、自分のことしか考えなくて、でも他人にはとても興味を持っている。そんな面々である。
 オペラが得意な女性も、寂しい夜にみんなと寄り添って、みんなを扇動して歌う歌は、昭和歌謡の『恋の奴隷』。
 旦那とふたりで美容院をやっていると言っていた女性も、実は妻子ある年下の男にふられてやるせなくて、ツアーに参加したと告白する。涙しながらも、人の職業や、子供が何人いるかとかを当てるのが大好き。
 旦那に先立たれたことを何食わぬ顔をして言っていた女性も、「私を置いて行かないで」と薄の野を疾走する夢を見てみんなに起こされる。
 みんな自分が中心。他人のことはどうでもいい。でも勝った負けたはない。それが女性と言わんばかりに、彼女たちの行動には、アイデンティティーを喪失して苦悩し、絶望している、ダメ男たちの呪縛はない。
 ガイドの男は、逆に見捨てられてしまっている。

 彼女たちは、昔幼い頃に夢中になった縄跳びに興じている。
 ”お嬢さん、お入んなさい”の掛け声ではじまる、何回続くかを競う縄跳び。
 お嬢さんしか入れないんだよ。男はだめだよ。続いている間は、私たちだけの空間だよ。そう見てとれた。

詳細評価

物語
配役
演出
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音楽

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