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滝を見にいく (2014)

監督
沖田修一
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3.49 / 評価:290件

解説

『キツツキと雨』『横道世之介』で知られる沖田修一が監督と脚本を務め、山の中で遭難した中年女性たちの生き残りを懸けた戦いを笑いを交えて描く人間ドラマ。いきなりのアクシデントに見舞われながらも、お互いの知恵と機転で危機を脱しようと頑張る女性たちの姿を活写する。出演者は主婦をはじめ全員がオーディションで選出。日常生活とかけ離れた場所で発揮される、彼女たちの本能に目がくぎ付け。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

7人の中年女性たちは温泉付き紅葉ツアーと銘打った旅行に参加し、それぞれが思い思いに山道の散策を楽しんでいた。だが、彼女たちの先に立って案内していたツアーガイドの姿がこつぜんと消え、7人は山中に置き去りにされてしまう。携帯もつながらず、食べる物も宿泊できる施設もない中、彼女たちはサバイバル生活を余儀なくされ……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2014「滝を見にいく」製作委員会
(C)2014「滝を見にいく」製作委員会

「滝を見にいく」おばちゃんの生命力が全開。どっぷりとマイナスイオンに浸れる癒し系コメディ

 なんだろう、この至福のひとときは。7人のおばちゃんが山で迷うという切羽詰まったストーリーなのに、なぜだか優しい気持ちが込み上げてくる。できることならこの時間がずっと続いてくれたらとさえ思う。

 「南極料理人」、「キツツキと雨」、そして「横道世之介」。沖田修一監督の作る映画はいつだって一貫している。言わば彼は、フレームから見切れてしまいそうな人々に穏やかなまなざしを注ぐ名手だ。平凡な彼らがふっと顔を上げる時、そこには自ずと光があふれ、物語が始まる。そんな日常とスクリーンとのなだらかな連続性の途上で格別のおかしみが生まれ、観客は思わず頬を緩めずにいられなくなる。

 「滝を見にいく」もその延長線上にある快作だ。キャストには有名俳優をいっさい使わず、オーディションによって選出した7人を起用。中には専業主婦もいるくらいだから、これぞ名もなき人々を慈しむ沖田ワールドの真骨頂と言えるだろう。

 バスツアーの最中、山で迷子になった彼女たちは、序盤こそ右往左往するものの、次の瞬間にはドンと腰を据える。各人が人生で培った特技とバイタリティを持ち合い、なんとか生き抜こうと奮闘するのである。

 木の実を拾い、火を起こし、懐かしのメロディを口ずさみながら、枯れ葉を毛布代わりに夜を明かす。おかしなものだ。最悪の状況にも関わらず、あふれてくるのは笑顔ばかり。まるで山の神様が彼女たちをひと晩だけ少女の姿に戻したかのよう。いちばんジミで寡黙な存在の主人公“ジュンジュン”に至っては、今やその瞳が八千草薫を彷彿とさせるほどに凛として見えるではないか。

 そして出色なのは、7人がいっさいの回想を挟まず、セリフや表情だけでそれぞれのバックグラウンドを打ち明けていく点である。決して全てをつまびらかにはせず、観客の想像力を刺激しながら紡ぐ会話劇の巧妙さ。この絶妙な匙加減が後味に深みを増し、88分の小宇宙をいっそう忘れがたいものとして輝かせ続けるのである。

 おかしくって、可愛らしくって、ホッコリと心地よい。沖田監督は今回もまた、とびきりの宝物を届けてくれた。(牛津厚信)

映画.com(外部リンク)

2014年11月20日 更新

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