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イコライザー
2014年10月25日公開

イコライザー

THE EQUALIZER

PG121312014年10月25日公開

hir********

4.0

男が巨悪と対峙した本当の理由

実は若い娼婦(クロエ・モレッツ)のために巨悪と戦うようなセンチメンタルな話ではない。 自分自身に失望して隠遁生活を送っていた主人公が、本来の自分を取り戻すハードな男の話だ。 男が独り隠遁生活を送っている理由については、詳細が語られないので映画の行間を読む必要がある。恐らくCIA所属時に犯した罪(政府に強いられた非人道的暗殺や虐殺?)が原因で、国家のみならず自分自身すら信じられなくなった(許せなくなった)のだろう。CIAを抜け、自身の殺し屋スキルや素性を完全に封印し、ひたすら整然とした生活を送る静かな序盤も、味があって好きだ。(おそらく自分自身のスキルすら危険視しているのだろう。行動全てに抑制が効いていて、突飛な行為や衝動的な言動が全くないのだ。例の事件までは・・・) 主人公は、若い娼婦やレジ係の婦人が悪意に曝されるのを目にして、遂に自分自身の枷を外すことになる。その変節の理由は、何なのか? ここで前半のクロエとの「老人と海」問答が効いてくる。「なんでカジキを見逃してやらないのよ?」「漁師は漁師、カジキはカジキ(日本で言う巨大カジキマグロ)、どんなに老人が巨大魚に敬意を覚えたとしても、老人は自分が漁師であることは変えられない。だから自分の全存在をかけて、老人は巨大魚と対決するのだ」「ふぅん」実はあまり理解できていない娼婦、クロエの演技が素晴らしい!(笑) 主人公がロシア・マフィアと事を構える本当の理由も、実は老人と一緒だ。 娼婦のクロエの事件は、単なるきっかけに過ぎない。 本体の彼は(CIAに所属していた際も)正義の番人であり、悪党の掃除人だったのだ。 悪い時期のCIAに不本意に利用されて罪を犯したが、自分自身は何も変わっていない!今も悪と戦う掃除人なのだ!と悟った彼は、過去の罪も含めて自分を受け入れる。 そして本来の自分に立ち戻り、これまで目を瞑ってきた周囲の悪と再び戦う覚悟を決めるのだ。そこからのデンゼル・ワシントンは凄まじい。何でもアリのホームセンターを舞台にした闘いは派手で、敵役も強い為かなり白熱する。しかし基本的にデンゼル無双状態(笑)。ふっ切れた主人公の活躍には、ラストまで胸がすく思いだった。 (昔馴染みの退役した上級情報官夫婦がまた良い。「彼は言葉通りの助力を求めに来たのではないよ。言外に許可を求めにきただけだよ。」と見抜くカッコよさ!もツボだった。) ところで劇中やたらSONY商品が目についた。使用されているモニターは全てSONYの文字が入っている。デンゼル・ワシントンのモバイルは当然VAIO。それ位なら許容範囲だが、コンピュータを使用する主人公の顔に焦点が合う前に、先ずVAIO裏蓋の<SONY>に焦点が合うのを観て、やや興醒めしてしまった。映画演出として意味のない単なるCMだ。コロンビア映画がいくらSONY傘下とは言え、あからさまな宣伝は止めて欲しかった。 文句はそのCMくらいだ。クロエ・モレッツの娼婦も良かった。前述の内容なので、当然クロエの登場シーンは言うほど多くない。しかし少ないシーンながら、しっかり若い娼婦に見えて違和感なかった。子役から良い役者にどんどん成長している。 内容的に続編はなさそうだが、手堅く作られたクオリティの高い佳作で、総じて大変満足した。

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