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ベイブルース ~25歳と364日~
2014年10月31日公開

ベイブルース ~25歳と364日~

1202014年10月31日公開

優しさ貴族

5.0

「なんでやねん」

「なんでやねん」 その時どうしようもないようなゆるくて間の悪い突っ込みが cm中のスクリーンに吸い込まれた。 客が0人。。。 確かに北陸地方。石川県はお笑い不毛の土地である。 地元からお笑い芸人になったのはダンディ坂野ただ一人。 お笑い番組はまだ人気があるが、 お笑いライブとなると、公演も少なく集客力も弱い。 確かに私もベイブルースというコンビは知らなかった。 が、それにしてもだ。。。 数日前youtubeか何かの動画サイトで今回の映画の 宣伝用pvを観て 「これは絶対観なければならない!」 と興奮の鼻息を吹かしていた。 その日私は当日券を買うために、店員から 「ここの席空いてますよ」と 空席で満たされたモニターを見る。 そして、 「マジか?」「今日は祝日やんか!」と疑問を呈しながら劇場のドアを開ける。 本当に誰もいない劇場で、チケットに記載された席番号の イスを倒す時思わず冒頭のつぶやきが出た。 前置きが長い事を謝罪します。 しかし、そんなことはあってもこの映画は泣ける。 わりと能天気な高山さんに対してシビアな河本さんは、 自らネタを書いて渾身の漫才を作ろうとする。 たとえ漫才コンクールで優勝しても、 「まだこんなことではアカン」と 高山さんを叱咤し、さらに自らを追い込み苦悩する。 私も映画での漫才のネタは面白いと思うし、 youtubeで見た本物のベイブルースのネタも面白かった。 他の方の意見と同じように、私もこのままいけば 現在でもテレビの冠番組を持っていただろうと推測する。 しかし、河本さんは病に冒されついにはベッドで 寝たきりになる。 もう末期の状態の横で高山さんは渾身の一人漫才を 披露する。。。 私はもう涙が止まらなかった。 途中ふと湧いてきた唯一の疑問 「小川菜摘の迷える演技」なんかは もうどうでもよかった。 エンドロールが終わり、ゆるくなった涙腺を 何度も指先でさすりながら 最後まで空席で満たされた劇場を後にする。 「なんでやねん」 さらに熱いエピソードがある。 本編にも役者として登場し、高山さんの仲間の一人でもあった 雨上がり決死隊の宮迫さん。 高山さんはこの映画の撮影中、宮迫さんには声を掛けなかった。 芸能人として、人気、実力があり、役者もできる宮迫さんは映画に 出て欲しかった。 映画に出てくれれば、客も集まるのは充分に予想がつく。 しかし、「宮迫は忙しいやろうし、、、、」という 最大限の配慮と気遣いで、宮迫さんには声を掛けずに粛々と撮影を続けた。 しかし、ついに撮影の事が宮迫さんの耳に入ることになる。 第一報を聞いた宮迫さんは激怒し、 「何で俺に声かけん!もう端役でもスタッフでもええから俺を使え!!!」 と高山さんに詰め寄ったらしい。 結果急遽アパートの管理人という役を設定し、本編に特別出演した。 第一報を聞いた時の宮迫さんは恐らく、 「なんでやねん」 という気持ちだったと思う。 空席だらけの劇場とは対照的に この映画は熱い友情で満たされている。 そして、 河本さんは薄れゆく意識の中、恐らく 脳裏にはこの言葉が浮かんでいたのだろうか? 「なんでやねん」

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